トランプ氏、アセトアミノフェンと自閉症を関連付け 専門家は反論
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【9月23日 AFP】米国のドナルド・トランプ大統領は22日、妊娠中の人々に対してアセトアミノフェンを含む鎮痛薬の服用を控えるよう呼びかけ、「痛みに耐える」ことを求めた。自閉症との関連性を理由に挙げた。さらに、乳児へのワクチン接種について大幅な変更が必要だと訴えた。
ホワイトハウスが米国の医療改革を推し進める中での発表となったが、中にはまだ有効性が確認されていない助言も含まれていた。こうした政権の取り組みをめぐっては、数十年にわたる医療のコンセンサスを無視しているとの懸念が医療関係者から出ている。
米国産婦人科学会を含む医療団体はこれまで、妊娠中に服用する最も安全な鎮痛薬の一つとしてアセトアミノフェンを挙げてきた。
しかし、トランプ氏は「タイレノール(アセトアミノフェンを含む市販薬)を服用するのは良くない」と強調。「絶対に服用せずに(痛みと)戦うべきだ」と述べ、妊婦に「我慢する」よう求め、「非常に高い熱」がある場合のみ服用は正当化できるとした。
こうした主張についてニューヨーク大学のアーサー・キャプラン氏(医療倫理学)は、「危険」「非科学的」「誤情報に満ちている」と批判し、発熱や痛みは母親と発育中の胎児の両方に深刻な脅威をもたらす可能性があるとしている。
「妊婦がタイレノールの服用に罪悪感を感じるのではないかと心配している。母親は赤ちゃんを裏切ったと感じるだろうし、発熱の治療を非倫理的と感じるだろう。それは公正ではなく、誰もそのように感じるべきではない」とAFPに語った。
アセトアミノフェンと自閉症との関連性について米食品医薬品局(FDA)は「因果関係は確立されていない」とし、科学的な議論が続いていると説明した。
先月発表された文献調査では、タイレノールへの曝露と自閉症の間に関連の可能性があるとされたが、他の多くの研究では逆の結果が出ている。研究者たちは、さらなる研究が必要であり、妊婦は医師と相談せずに薬を中止すべきではないと警告していた。