【9月4日 AFP】エミー賞受賞歴のあるコメディー作家が、オンライン上でトランスジェンダーの人々を侮辱した疑いで逮捕されたことで、英国における言論の自由をめぐる論争が再燃している。キア・スターマー首相は3日、警察に対し「この最も深刻な問題に集中」するよう求めた。

1990年代の人気 シチュエーションコメディー番組「テッド神父」の共同原案を務めたアイルランド人作家、グレアム・リネハン氏は1日、ロンドン・ヒースロー空港で、ソーシャルメディアへの投稿を理由に武装した警察官5人に逮捕されたと述べた。

ロンドン警視庁は、米国からの便で到着した男を、X(旧ツイッター)への投稿に関連した暴力扇動の容疑で逮捕したと発表。

「空港警備の警官が銃器を携帯するのはごく普通のことだ。逮捕時に銃器を抜いたり、使用したりしたことはない」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領の盟友で、英国の政党支持率に関する世論調査で首位に立つ強硬右派政党「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ党首は、3日の米連邦議会での証言でこの問題を取り上げ、英国を北朝鮮になぞらえた。

ファラージ氏はIT大手に対する欧州連合(EU)と英国の規制に関する公聴会で、「きょうは、皆さんに警鐘を鳴らすために来た。米国でもこのようなことが少しずつ起こることのないように」と語った。

EUと英国は、コンテンツに関する規制の面で米国よりもはるかに厳しい。

ファラージ氏はさらに、「米国の政治家や企業が英国政府に対し、『これは間違っている』と言ってくれれば、英国民、米国民、そして自由を愛するすべての人々にとってプラスになるだろう」と付け加えた。

スターマー氏は3日、英議会で「この国には言論の自由の長い歴史がある」と述べ、「警察がこの最も深刻な問題に集中できるようにしなければならない」と述べた。

だが、ロンドン警視庁のマーク・ローリー警視総監は、法改正が必要だと主張。今後、警察官がソーシャルメディアの投稿を訴追するのは「明らかに危害や混乱を招く恐れがある場合」に限られると付け加えた。

「警察は歴代政権によって通報を受けたら犯罪として事件として記録せざるを得ない状況に置かれてきたため、意図と被害が曖昧な場合、板挟みになる」「有害な文化戦争の議論を警察が取り締まるべきではないと思う」と付け加えた。