インドネシアで抗議デモ激化 議会放火で3人死亡
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【8月31日 AFP】インドネシア当局は30日、スラウェシ島マカッサルでの抗議デモで地方議会の建物に火が放たれ、少なくとも3人が死亡したと発表した。議員手当など政府の経済政策に抗議するデモは、参加者のバイクタクシー運転手が警察車両にはねられて死亡したことを受けて激しさを増した。
東南アジア最大の経済国インドネシアは29日、首都ジャカルタを含む各地で抗議デモに揺れた。就任から1年未満のプラボウォ・スビアント大統領にとって、最大かつ最も激しい抗議行動となった。
マカッサルでは、州および市議会庁舎の外で、抗議デモ参加者らが石や火炎瓶を投げ、建物が炎上した。
マカッサル市議会のラフマト・マッパトバ事務局長はAFPに対し、火災で3人が死亡したと明らかにし、「燃える建物の中に閉じ込められていた」と説明。デモ参加者が放火したと非難した。
死亡したのは、現場にいた作業員2人と職員1人。職員は搬送先の病院で死亡が確認された。少なくとも4人が負傷し、病院で治療を受けているという。
インドネシアのメディアが投稿した映像には、炎に包まれる建物周辺に数百人が集まる様子が捉えられていた。警備当局者の姿はほとんど見当たらなかった。映像には「上に人がいる!」と叫ぶ男性の声も記録されていた。
南スラウェシの軍司令官は30日、マカッサルの状況は「現在、正常に戻った」とする声明を発表した。
■「警察の犯罪」
30日も各地で抗議デモが発生した。
人気観光地バリ島の警察本部前では、学生数百人とバイクタクシー運転手らが集まった。
隣接するロンボク島では、デモ参加者が州都マタラムの議会建物に突入し、警察が催涙ガスで阻止しようとしたにもかかわらず、建物に火をつけた。
スラバヤでも数百人の学生が東ジャワ警察本部前で集会を開いたと、現場にいたAFP記者が伝えた。
抗議行動の拡大を受け、動画投稿アプリTikTokはインドネシアでのライブ配信機能を「数日間」停止すると発表した。同国には1億人以上の利用者がいる。
デモ激化のきっかけとなった28日のバイクタクシー運転手死亡事故について、警察は警官7人の身柄を拘束したと明らかにした。国家警察長官は、倫理審査を経て「犯罪」として立件する可能性もあると述べた。
事態の沈静化を呼びかけたプラボウォ大統領は、運転手の死について調査を命じ、関与した警官が責任を負うよう指示した。
情勢の不安定化を受け、プラボウォ氏は3日に予定されていた中国・北京での戦勝記念行事への出席を取りやめると発表した。(c)AFP/Andi Harjamurni