■逃走計画

警察の担当者によると、刑務所前に集まったリービヒ受刑者の支持者らに、逃走計画に関する音声メッセージが送られてきた。その内容は「リービヒは体調不良のため、他国に向けて出国した」というものだった。

口紅を塗り、金のイヤリングやヒョウ柄のトップスを身に着け始めたリービヒ受刑者の性別変更は、2024年11月に施行された自己決定法をやゆする意図があったと広く見なされている。

保守派のアレクサンダー・ドブリント内相は、「自己決定法がそうする機会を与えているため、司法、国民、そして政治家がばかにされている」「(ドイツは)性別変更の乱用を防ぐためのルールをどのように確立するかについて議論する必要がある」と述べた。

リービヒ受刑者はユダヤ教に改宗したとも主張し、刑務所にコーシャ食品(ユダヤ教徒が食べてもよいとされる清浄な食品)とラビ(ユダヤ教の宗教的指導者)による監督を求めた。

これに対しドイツの反ユダヤ主義担当委員フェリックス・クライン氏は、「ユダヤ人だけでなく、信仰に関係なくあらゆる宗教関係者を嘲笑するものだ」と非難した。

自己決定法は、中道左派のオラフ・ショルツ前首相率いる政権によって導入された。

同法により、成人は誰でも戸籍役場に届け出るだけで性別や名前を変更できるようになった。変更の理由や診断書を提示する必要はない。