米国が国際小包の免税措置を終了、中小企業に打撃 価格転嫁も
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【8月29日 AFP】米国政府は29日、海外からの小包に対する関税免除措置を終了した。この決定は中小企業の間で懸念を呼んでおり、消費者価格上昇への警戒感も高まっている。
ドナルド・トランプ政権は800ドル(約11万7000円)以下の低額輸入品が関税回避や薬物の密輸に悪用されているとして、これまでの免税措置を撤廃した。今後は荷物の発送国に応じて課税され、1点につき80~200ドル(約1万1700~2万9400円)の特定関税が課される。一部の個人使用の品物や贈答品については例外が認められる。
日本やフランス、ドイツ、イタリア、インド、オーストラリアなどの郵便事業者は、米国向け小包の取り扱い停止を発表。英郵便事業会社ロイヤルメールも同様の措置を取ったうえで、この日米国向けの発送を継続するための新サービスを発表している。
米当局によれば、免税対象の小包のうち郵便ネットワーク経由で到着したのはわずか5%で、大半は民間の速達業者を通じて輸送されていたという。それでも、制度変更は中小企業に混乱と不安をもたらしている。
英国の小売業者リズ・ニーバーグさんはAFPに対し、ロイヤルメールが新制度に対応するまで米国向けの発送を停止したと述べた。ニーバーグさんは運営するオンラインショップで靴下や下着などを販売しており、米国の顧客の売り上げは約20%を占めているが、「新しい関税が恒久的なものになるなら、価格を上げるしかないです。利益率が低すぎて吸収できません」と話した。
米コーネル大学のリ・チェン教授は、「スイッチをオン・オフするように簡単に切り替えられるものではない」と、郵便事業者が関税徴収の仕組みを整えるには時間がかかると述べた。
また「消費者側は、すべての荷物が税関を通過する必要があるため、遅延が発生する可能性がある」とも指摘し、企業が関税分を価格に転嫁すれば、商品価格の上昇も懸念される。
リ教授は、こうした制度変更の影響は大企業であれば、ある程度のショックを吸収できる余地があるものの、中小企業にとって「はるかに深刻」になると予測している。(c)AFP