不動産広告に映り込んだ「ナチス略奪絵画」 アルゼンチン警察が捜査
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【8月28日 AFP】アルゼンチンで今週、ナチス・ドイツが第2次大戦中に略奪したとされる17世紀の絵画が不動産広告に映り込み、警察が行方を追っている。
広告に映り込んだ問題の絵画作品は、バロック時代のイタリア人画家、ジュゼッペ・ギスランディ(1655-1743)による「貴婦人の肖像」とみられている。オランダ紙ADが25日、海辺のリゾート地マル・デル・プラタで売りに出されている不動産の写真の中で特定した。
真贋は回収されるまで不明だが、第2次大戦中にアムステルダムの美術商ジャック・グーツティッカー氏から略奪されたものと考えられている。
公開された写真には、金色の額縁に入った貴婦人の絵が緑色のソファの上のリビングに掛けられていた。AD紙の記者が気づき、アルゼンチンの検察当局が家宅捜索を命じた。
しかし26日の捜索では絵画は見つからず、現場からは銃器が押収された。不動産会社のウェブサイトからは物件情報も削除されており、同社はAFPのコメント要請に応じていない。
捜査には国際刑事警察機構(インターポール)も協力している。
絵画があったとされる住宅は、戦後アルゼンチンに逃れたナチス親衛隊(SS)の高官フリードリヒ・カドギエンの娘パトリシア・カドギエン氏が所有しているとみられる。弁護士は地元紙に対し、夫妻は当局に協力する意向を示していると語った。
グーツティッカー氏の相続人は、国際的な失踪美術品リストに掲載されている同作品の返還を求めている。義理の娘マレイ・フォン・サーさん(81)はADに対し「義父ジャック・グーツティッカーの美術品を探し始めたのは1990年代後半で、今も諦めていない」と話した。(c)AFP