「裸とわいせつは同じではない」ネパール最高裁、ヒンズー教修行者の伝統擁護
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【8月28日 AFP】ネパールの最高裁判所は、ヒンズー教の裸のサドゥー(修行者)が寺院を巡礼する際に衣服を着用する必要はないとの判断を下し、古くからの裸の伝統はわいせつではないと宣言した。
「ナーガ」と呼ばれるサドゥーは、ヒンズー教のシヴァ神を信仰し、家族や世俗的な財産を放棄し、灰を体に塗り髪を切らない。
ナーガらは27日、最高裁の判決を歓迎すると述べた。
シヴァ神の信仰者にとって最も神聖な場所の一つであるパシュパティナート寺院に巡礼するため隣国インドから徒歩でやって来たナーガのエアカダサ・ババさん(45)は、「ネパール最高裁に感謝したい」「裸で街や村を歩き回るという意味ではない。裸でいるのは、寺院という自分たちの場所の中だけだ」と述べた。
最高裁はこの判決で、ネパールの首都カトマンズにあるパシュパティナート寺院へのナーガの立ち入りを禁じる訴えを棄却した。この訴えは、ナーガが裸でいることが他の信者の迷惑になっていると主張していた。
裁判所のニラジャン・パンディ報道官によると、裁判所は昨年下され今週公表された判決の中で、「裸とわいせつは同じではない」「宗教的または文化的伝統の一環として実戦される裸は、自動的に不快なものとみなされるわけではない」と述べた。
パシュパティナート寺院で行われるシヴァ神をたたえる祭り「マハ・シヴァラトリ」には毎年、数百人のナーガが訪れる。中には寺院の敷地内にとどまり、生活する人もいる。
最高裁は、ナーガの入国を禁止することは国内外の宗教の自由の保護を侵害すると述べた。
訴えられたにもかかわらず、ネパール人のナーガ、ラジェンドラ・ギリさん(51)は、この伝統は誰にも「迷惑をかけていない」と述べた。
ナーガは通常、2月か3月に行われるマハ・シヴァラトリのためにインドからやって来る。パシュパティナート寺院はナーガに食事と旅費を提供する。
文化史の専門家、ゴビンダ・タンドン氏は、「ナーガたちには指定された場所があり、厳格な規律に従っている」「最高裁が正しく指摘したように、ナーガたちの裸はわいせつではなく、ナーガの伝統の中核を成すものだ」と指摘した。(c)AFP