【三里河中国経済観察】中央都市会議、人民都市建設を推進
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【8月3日 CNS】2025年7月14日から15日にかけて、中央都市工作会議が北京で開催された。これは中国における都市政策の節目を示す重要な会議であり、前回は2015年、その前は1978年に開かれている。今回の会議では、「現代的な人民都市の建設」を目指し、今後の都市政策の重点課題が提示された。示された方向性と転換点の明確さから見ても、中国都市発展の歴史において重要な一里塚となることは間違いない。
背景として注目すべきは、2024年末時点で中国の常住人口に占める都市人口の割合(都市化率)が67%に達し、およそ9億4000万人が都市に居住しているという事実だ。都市発展は歴史的な成果を上げてきた。
今後、中国がどのようにして「中国の特色ある都市の現代化」という新たな道筋を築いていくのか、今回の会議はその答えを示している。
会議では、中国の都市化が「急速な成長段階」から「安定的な発展段階」へと移行し、都市発展も「大規模な拡張期」から「既存資産の質の向上と効率化重視」へと転じていると指摘された。この認識こそが、新時代の都市政策の出発点である。
こうした流れを踏まえ、会議では都市政策のあり方について「五つの転換」が示された。それは、都市づくりの理念を「人間本位」に改めること、発展手法を「集約型・効率型」に改めること、成長の原動力を「個性や特長重視」に切り替えること、政策の重点を「都市ガバナンス」に移すこと、そして手法を「総合的かつ調和的」に変えるというものである。
華東師範大学(East China Normal University)都市発展研究院の院長である曾剛(Ceng Gang)院長は、「五つの転換」は大きく二つの意味を持つと説明している。一つは、都市開発がこれまでの規模拡大型から、より包括的で質の高い発展を目指す段階に入ったこと。都市が中国式現代化の空間的基盤になるという意味合いも込められている。もう一つは、これまでの経済中心の都市政策から、「市民の幸福」や「暮らしの質向上」を重視する方向へと転換したことを意味する。
さらに、五つの転換はすべて「都市の価値を人間の幸福と生活の質に立ち返らせる」という一点に集約されている。
中国共産党の第20回全国代表大会報告書でも「人民のための都市づくり」という基本理念が掲げられている。都市計画・建設・ガバナンス水準の向上、巨大都市の成長モデル転換、都市再生プロジェクトの推進、インフラ強化、そして住みやすく、強靱で、スマートな都市づくりが目標として提示された。
こうした方針を具体化するため、会議では都市政策の重点分野として七つの領域が設定された。すなわち、都市システムの最適化、イノベーション都市の構築、快適で便利な住環境の整備、グリーンで低炭素な美しい都市づくり、安全で信頼性の高い都市インフラの整備、倫理性と市民意識の高い文明都市の建設、そしてスマートで効率的な都市機能の開発である。
これらの重点施策は、現代的な人民都市を実現するための基盤となる。
今回の会議の表現や方針は、第20回全国代表大会の精神を受け継ぎ、さらに発展させる形になっている。「人民のための都市づくり」という理念を中心に据え、「住みやすさ」「強靱性」「スマート化」の三本柱を七つの具体策に落とし込んだ格好だ。
たとえばスマートシティ構想に関しては、住民サービスのホットラインなどを活用し、市民のニーズに迅速かつ効率的に対応する都市運営モデルの構築が求められている。
中国では2013年に住建部が初のスマートシティ試行プロジェクト90件を発表して以来、この分野で継続的な進展があり、2023年時点で全国に40の時空間データプラットフォームを持つスマートシティが誕生している。
曾剛院長は、七つの重点課題の設定は、今後の中国の都市間関係を「競争」から「協調」へと転換する象徴であると語る。大都市は国内外の物流や情報の中枢拠点、中小都市は都市と農村の結びつきを担うハブとして、それぞれ異なる役割を果たすべきだという。
今後の都市のあり方について、曾氏は「都市の外観よりも内面的な価値向上が重視され、点在する小さな更新の積み重ねによって都市の持続可能性が新たなスタンダードになるだろう」と展望を示した。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News