【7月29日 CNS】中国の高速鉄道に、また新たな動きがある。

最近、国家鉄道局の安路生(An Lusheng)副局長が記者会見で明らかにしたところによると、成渝中線高速鉄道が開通すれば、営業運転速度は時速400キロに達し、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)と重慶市(Chongqing)の間をわずか50分で移動できるようになるという。

注目すべきは、この鉄道の設計速度が時速350キロであるにもかかわらず、一部区間では時速400キロへの引き上げを見越した設計となっており、中国で初めて時速400キロ運転に対応した高速鉄道になる点だ。

この路線は「上海~重慶~成都沿江高速鉄道」の一部をなしており、将来的にはCR450型高速列車がこの成渝中線で商用運転される可能性が高い。なお、中国国家鉄路集団は「第14次5か年計画における鉄道科学技術革新計画」において、同路線などを活用してCR450プロジェクトの技術実証を行うことを明言している。

これは中国はもちろん、世界全体でも最速となる高速鉄道となる見通しだ。

現在、成渝間では9分に1本の割合で高速列車が運行しており、1日の移動人口は100万人を超える。

高速鉄道が到達することで、都市間の「時空」が再構成される。

時速400キロによる「同一都市圏効果」は、行政区画の境界をさらに曖昧にし、人材、資本、技術といった主要な生産要素がこれまでにないスピードで成都と重慶の両都市および沿線都市を行き交うようになる。

これにより、産業チェーンの上下流の配置がより柔軟かつ最適化され、イノベーションの連携がさらに密接に、高度サービス業の波及範囲も広がることが期待されている。

こうした深い「時空の圧縮」は、地域経済の活性化と市民生活の利便性向上を大きく後押しし、成渝地区の双都市経済圏が真の一体化へと加速することを意味する。

時速400キロという推進力のもと、成都と重慶の「ツインエンジン」効果は飛躍的に拡大し、より高い競争力とイノベーション力、効率的な資源配分をもつ成長極としての姿が鮮明になっていく。

現在、成渝地区は中国の主要な経済成長エリアの一つだ。2024年には、同地域の域内総生産(GDP)は8兆7193億元(約179兆3734億円)に達し、西部全体の30.3%を占めている。全国シェアも2020年の6.3%から6.5%に上昇しており、成長余地は非常に大きい。

では、なぜ「京津冀(北京・天津<Tianjin>・河北<Hebei>)」や「長江デルタ(上海、江蘇省<Jiangsu>、浙江省<Zhejiang>)」ではなく、この成渝地区で最速鉄道の運用が先行されるのだろうか?

その背景には、国家の戦略的な深い配慮がある。

近年、四川・重慶地域は国家レベルで最も注目されているエリアのひとつであり、政策支援や財政投入も群を抜いている。

2020年以降、成渝地区の双都市経済圏には累計11兆元(約226兆2920億円)以上の資金が投入され、800件を超える大型プロジェクトが共同で推進されてきた。

「国家総合立体交通ネットワーク計画綱要」によれば、京津冀、長江デルタ、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)、そして成渝地区の4つが中国の国際交通ハブの中核と位置づけられている。

成渝地区は、中国内陸部における戦略的中枢として、特に西部開発政策において重要な役割を果たしている。そのため、交通・物流の高効率ネットワークを構築するうえでも、最速鉄道の導入に最もふさわしいエリアだといえる。

たとえば、「四川省国土空間計画(2021~2035年)」では、同省を「新時代の西部大開発および長江経済ベルト戦略における中核地域」として明記している。

こうした特別な戦略的使命を担う地域では、極めて高いレジリエンス(回復力)をもつインフラと、超効率的な資源循環の構築が求められる。

高速鉄道は、単なる交通手段にとどまらず、国家戦略上の安全保障インフラでもある。緊急時には中枢地域間の人員や物資の迅速な移動・支援を可能にする。

したがって、成渝中線での時速400キロ運行の実現は、スピードの革新であると同時に、国家戦略の象徴ともいえる。

高速鉄道網はまるで血管のように国土を結び、有機的な「ひとつの生命体」として中国を形づくっている。京津冀、長江デルタ、粤港澳大湾区、成渝地区……これらの経済圏は、高速鉄道の力によってグローバル競争に挑む中国の重要な支点となりつつある。

鉄道網の拡大と深化は、都市間のつながりを「地理的共同体」から「発展の共同体」へと昇華させるだろう。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News