トランプ氏の支持基盤MAGA派、イスラエル無条件支持に反発
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■「ほぼ支持なし」
トランプ氏寄りで知られる保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」は3月、米政府に対し、イスラエルとの関係を見直し、「特別な関係」から「対等な戦略的パートナーシップ」に変更するよう求めた。
一部のアナリストによると、イスラエルに対する強い不満の表明は、特に2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃以降、共和党の考えに反するとの認識から抑制されてきた。
だが、主要NGOからの厳しい警告や、国連世界食糧計画(WFP)によるガザ住民約200万人の約3分の1が「何日も食べていない」との指摘を受けて、MAGA内の議論は緊迫感を帯びている。
新しい考え方の兆候は、極右扇動家のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員のX(旧ツイッター)投稿に見られる。グリーン氏はイスラエルのロケット防衛システムへの5億ドル(約742億円)の資金提供を取り消すよう呼び掛けている。
グリーン氏は今週、イスラエルの行為を「ジェノサイド(集団殺害)」と呼び、「ガザで罪のない人々や子どもたちが飢えている」と非難するなど、これまでのどの共和党議員よりも踏み込んだ発言した。
数多くの陰謀論的なソーシャルメディア投稿をしてきたグリーン氏は信用できない人間かもしれないが、彼女がMAGA派の心情をよく理解していることは否定できない。
CNNの最新世論調査によると、イスラエルの行動は完全に正当化されると考える共和党支持者の割合は、2023年の68%から52%に低下した。
食料不足がまだ人道的大惨事に発展していなかった4月に実施された米調査機関ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、この動きをけん引しているのは若年層のようだ。
50歳以上の共和党支持者の親イスラエル的な見解は2022年以降、ほとんど変わっていないが、若年層における同盟国イスラエルへの不支持率は35%から50%に上昇している。
第1次トランプ政権で大統領首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏はポリティコに対し、「イスラエルは30歳未満のMAGA派にほとんど支持されていないようだ」と語り、トランプ氏のイスラエル非難により支持者たちはイスラエルへの敵意を強固にするだろうと付け加えた。
民主党の戦略家マイク・ネリス氏は、ガザの食糧危機を「危機が通常の党派的な行き詰まりを打破するまれな瞬間の一つ」と表現。
「政治的立場を問わず、人々がもはや我慢できないと感じているのが分かる」と語った。(c)AFP