【7月29日 AFP】肥満、飲酒、肝炎といった予防可能な原因への対策を強化しなければ、2050年までに世界の肝臓がん患者数はほぼ倍増するとの研究が29日、医学誌ランセットに発表された。

グローバル・キャンサー・オブザバトリーのデータによると、肝臓がんは部位別新規罹患数で6番目に多く、現在の傾向が続けば、新規罹患数は年間87万人から152万人に増加すると予測されている。

肝臓がんは部位別がん死亡数で3番目に多く、この研究では今世紀半ばまでに137万人の命を奪うと予測されている。

しかし、国際専門家チームによると、肝臓がんの5例中3例は予防可能だという。

危険因子は、飲酒、ウイルス性肝炎、そして以前は非アルコール性脂肪性肝疾患と呼ばれていた代謝異常関連脂肪肝(MASLD)だ。

世界肝炎デーの7月28日に発表された同研究によると、B型肝炎とC型肝炎を引き起こすウイルスは、2050年も肝臓がんの主な原因であり続けると予測されている。

B型肝炎を予防する最善の方法は出生時のワクチン接種だが、サハラ以南のアフリカなどの貧困国ではワクチン接種率が依然として低いとされる。

ワクチン接種率が向上しなければ、2015~2030年にB型肝炎で1700万人が死亡すると予測されている。

アルコール消費は、2050年までに肝臓がん全体の21%以上を引き起こすと推定されており、2022年から2ポイント以上増加している。

肥満に関連する脂肪肝を原因とするがんは全体の11%に増加し、こちらも2022年から2ポイント以上増加すると試算されている。

この大規模研究では、この問題に関する既存のエビデンスが検証され、肝臓がんに対する「世界的な対策の緊急性」が強調されたと著者らは述べている。

著者らは、米国、欧州、アジアの肥満や糖尿病の患者に脂肪肝について警告することで、肝臓がんの予防可能な危険性について国民の意識を高めるよう呼び掛けた。(c)AFP