【7月24日 AFP】欧州連合(EU)欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長と欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は24日、中国・北京を訪問し、習近平国家主席と会談した。表向きは外交関係50年を祝う訪問だったが、貿易やロシアによるウクライナ侵攻をめぐる問題など、双方の意見は大きく食い違っている。

人民大会堂での会談で習氏は、中国と欧州の指導者は「人々の期待に応え、歴史の試練に耐えうる正しい戦略的選択をしなければならない」と述べた。

習氏はさらに、「国際情勢が厳しく複雑になるほど、中国とEUがコミュニケーションを強化し、相互信頼を増し、協力を深めることが重要だ」と述べた。

これに対し、フォンデアライエン氏は「中国と欧州がそれぞれの懸念を認識し、具体的な解決策を見つけることが重要だ」と述べ、双方の関係が「転換点」に達したと指摘した。

コスタ氏も、EUは「貿易と経済に関連する問題で具体的な進展を見たいと考えており、われわれの関係が相互に利益をもたらすものであることを望んでいる」と述べた。

中国の指導部は、米国よりも信頼できるパートナーとして、また不安定な世界における安定の基盤として、EUを引き寄せようとしている。

しかし、EUは貿易に関する深刻な対立、安価で補助金を受けた中国製品が欧州市場を圧倒する恐れ、そして中国がロシアのウクライナ戦争を黙認していることをめぐり、具体的で明確な対応を求めている。

EUの最重要課題は、昨年約3600億ドル(約52兆6000億円)に達した中国との貿易赤字だ。フォンデアライエン氏はこの現状について「持続不可能」と表現している。

また、欧州企業の中国市場へのアクセス要件緩和、さらには戦略的に重要なレアアースの輸出規制を緩和することを中国に要求するとしていた。

ウクライナでのロシアによる軍事作戦を中国が事実上容認している点についてもEUは問題視している。

この問題について欧州理事会委員長のコスタ氏は、中国に対してモスクワの「侵略戦争」を終わらせるために「影響力を行使する」よう求めた。

EUは先週、ロシアに対して新たな制裁パッケージを採択した。その中に、中国2銀行に対する制裁が含まれていたことから、中国側の「厳粛な抗議」を招くこととなった。(c)AFP