「キューバにこじきはいない」労働相の現実乖離発言が炎上
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【7月16日 AFP】経済危機に見舞われているキューバで、マルタ・エレナ・フェイト労働相が「キューバにこじきはいない」と発言したことが物議を醸し、15日にはミゲル・ディアスカネル大統領も介入を余儀なくされた。
フェイト労働相は14日、国営テレビで生中継された貧困対策に関する議会委員会で、ごみ捨て場をあさる人々は「こじきのふりをしている」だけだと主張。
「彼らの手や服装を見れば、こじきのふりをしているだけで、こじきではないことが分かる。キューバにこじきはいない」と述べた。
この発言に共産主義国キューバのソーシャルメディアユーザーたちは激怒し、ごみ捨て場から拾った食べ物を食べている人々の写真を投稿した。一方、経済学者のペドロ・モンレアル氏はX(旧ツイッター)で、キューバには「『大臣』のふりをした人々」がいると皮肉った。
ディアスカネル大統領も15日、この論争に加わり、フェイト労働相の「配慮不足」を非難した。
その後議会で「誰であろうと傲慢(ごうまん)な行動、見せかけだけの行動、われわれが生きる現実から乖離(かいり)した行動を取ってはならない」と指摘。物乞いは「キューバが直面している社会的不平等と諸問題の具体的な表れ」だと述べた。
キューバは食料や医薬品、燃料が不足し、日常的に停電に見舞われるなど、過去30年間で最悪の経済危機に直面しており、貧困率は急激に上昇している。
専門家たちは、米国による制裁、国内の経済政策の失敗、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による重要な観光業の低迷が重なったことが原因だと非難している。
政府は昨年、人口約970万人のうち、18万9000世帯と35万人が「危急な」状況で生活し、生活保護を受けていると発表した。
AFPは、非公式為替レートで平均月収が20ドル(約3000円)未満であるキューバにおいて、路上にいるホームレスや物乞いが過去2年間で著しく増加していることを確認している。
キューバ経済は2023年の1.9%、2024年には1.1%と、2年連続で縮小した。(c)AFP