「何のための戦争?」 アラブ系イスラエル人、イラン攻撃で妻子亡くし嘆き
このニュースをシェア
【6月18日 AFP】イランとイスラエルが空爆の応酬を続ける中、イスラエル北部にあるアラブ系住民の多い町タムラは、その高い代償を払わされることになった。民家に弾道ミサイルが直撃し、4人が死亡。小さな町の暮らしは一変した。
17日、タムラの細い通りには大勢の住民が集まり、カラフルな花輪で飾られた木製のひつぎが町の墓地に運ばれるのを涙しながら見守った。
今回のイランの攻撃により、イスラエルのアラブ系の少数民族とユダヤ人に対する保護の格差が浮き彫りにされたと指摘する人もいれば、戦争という非情さが改めて示された形にすぎないと考える人もいる。
今回の攻撃で妻と2人の娘、そして義理の妹を亡くしたラジャ・カティブさんはAFPに、「自分にもミサイルが直撃していればよかった。そうすれば、娘たちと一緒にいられて、私も、もう苦しまずに済んだのに」と語った。
「私から学んでほしい。もう犠牲者を出さないでほしい。戦争をやめてくれ」
イランとの交戦が始まって5日間で、イスラエルでは、少なくとも24人が死亡、数百人が負傷している。
イスラエルの高度な防空システムは、ミサイルや無人機の大多数を迎撃しているが、100%ではない。
ミサイルの中には、列車の1車両ほどのサイズで、数百キロの重さがある弾頭を搭載したものもある。そんなイランの弾道ミサイルが1発でも当たれば、街区の一帯が破壊され、集合住宅はえぐられ、衝撃波で周囲の窓ガラスは割れ、周辺に甚大な被害を及ぼす。
このようなミサイルによる被害は、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによる越境攻撃以降、20か月以上戦争が続いているイスラエルでも前例のない規模だ。
タムラの他にも、テルアビブやブネイブラク、ペタフティクバ、ハイファでも住宅地が攻撃を受けている。