【6月11日 AFP】英国がインド洋に浮かぶチャゴス諸島をモーリシャスに返還する協定をめぐり、国連の専門家グループは11日、チャゴスの人々の権利を保障していないとの見解を示した。

先月発表された協定は、同諸島最大の島であるディエゴガルシアにある軍事基地の支配権を英米両国に引き続き認めるものとなっている。協定の下、英国はモーリシャスに対し、基地リース料として年1億100万ポンド(約200億円)を99年間支払う。

協定の一環として、モーリシャスは1960年代に英国によって諸島から追放されたチャゴス諸島の住民を、ディエゴガルシアを除く50以上の島に再定住させることができる。

専門家グループはこれについて、「ディエゴガルシアにおける英米の軍事プレゼンスを維持し、チャゴス諸島の人々がディエゴガルシアに戻るのを妨げることになるため、協定はチャゴス諸島の人々の帰還権と矛盾しているように見える」となど指摘。「こうした重大な懸念を踏まえ、協定の批准を一時停止し、ディエゴガルシアを含むチャゴス諸島のすべての島に対するチャゴスの人々の権利を完全に保障する新たな協定を交わすことを求める」としている。

専門家グループの勧告は、英国とモーリシャスに伝えられた。(c)AFP