米、国連安保理でガザ停戦決議案に拒否権 理事国からも怒りの声
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【6月5日 AFP】国連安全保障理事会は4日、パレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦と人道支援の制限解除を求める決議案を否決した。全15理事国のうち14か国が賛成したが、米国が拒否権を行使したことを受け、理事国からは米国を批判する声が上がった。米政府は、同決議案は停戦に向けた外交努力を損なうと主張している。
第2次ドナルド・トランプ米政権が拒否権を行使したのは、今回が初めて。
マルコ・ルビオ米国務長官は、14対1の投票結果を受け、「米国は本日、イスラエルを標的として逆効果を招く、ガザについての国連安保理決議案を拒否することで強いメッセージを送った」と表明。
「イスラエルと(イスラム組織)ハマスを同等に扱うという誤った印象を与え、イスラエルの自衛権を無視する」いかなる文言も米政府は支持しないとし、「米国は今後も国連でイスラエル側に立つ」と主張した。
2023年10月7日にイスラエルに前例のない越境攻撃を仕掛け、戦争のきっかけを招いたハマスは、米国が拒否権を行使したことを「恥ずべき」行為と非難し、イスラエルはガザで「ジェノサイド(集団殺害)」を行っていると改めて非難した。イスラエル側は、この指摘を強く否定している。
フランスのジェローム・ボナフォント国連大使は、「われわれの大半は一つの見解でまとまっているとみられるが、国連安保理がその責任を負うことを妨げられた」と米国の拒否権行使を批判した。
パキスタンのアシム・アフマド国連大使は、「国連安保理の良心に道徳的な汚点を残すだけではなく、政治的判断が何世代にもわたって影響を及ぼす運命的な瞬間となるだろう」との見方を示した。
中国の傅聡国連大使は、「今日の投票結果は、ガザ紛争を鎮圧できない安保理の根本原因が、米国の度重なる妨害にあることを改めて露呈している」と述べた。(c)AFP