ドイツ首相、移民取り締まりを正当化「公共の安全守るのに不可欠」
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【6月4日 AFP】ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は3日、主要施策の一つが裁判所に違法と判断されたのを受け、政府による移民取り締まりは「公共の安全を守る」ために不可欠だと強調した。
ベルリンの裁判所は2日、欧州連合(EU)の規則に基づき、どの国で難民認定の審査をするかを決める前に、ドイツ国境警備隊は難民認定申請者を追い返すことはできないと判断した。
ドイツへの入国を拒否されたソマリア人3人が起こした訴訟に対するこの判決は、メルツ氏が先月の就任後に開始した移民取り締まりへの打撃となった。
だが、メルツ政権は判決に異議を唱える間、難民認定申請者を追い返し続けるのは合法だと主張しており、メルツ氏自身もこの立場を強調した。
メルツ氏はベルリンでの地方自治体関係者らとの会合で、判決によって「われわれの行動の余地が多少制限される可能性がある」と認めた。
しかし、判決は「暫定的なもの」であり、「われわれは難民認定申請者の追い返しを継続できることを知っている」と主張。
「わが国の公共の安全と秩序を守り、都市や自治体が逼迫(ひっぱく)するのを防ぐため、われわれはそうする」と続けた。
メルツ氏は、近隣諸国の一部との緊張を引き起こしているこの政策は、「既存の欧州法の枠組みの中で」実施されると説明。
これらの措置は、EU境界における治安が「大幅に改善される」までの一時的な措置だと強調した。
裁判所は、判決の根拠は他の事件にも適用できると述べたが、アレクサンダー・ドブリント内相は、この判決は訴訟を起こした3人にのみ直接影響すると主張した。
難民認定申請者を含むほぼすべての不法移民をドイツ国境で押し返すことは、2月の総選挙でメルツ氏が掲げた主要公約の一つ。
総選挙では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は20%余りという過去最高の得票率を獲得した。メルツ氏は、移民問題への対策こそがAfDの勢力拡大を阻止する唯一の方法だと主張している。
しかし、メルツ氏の連立パートナーである中道左派の社会民主党(SPD)は、この取り締まりを不安視している。(c)AFP