【5月29日 AFP】米国のドナルド・トランプ政権で歳出削減を進める「政府効率化省(DOGE)」を率いてきたイーロン・マスク氏は28日、トランプ氏の看板政策となる歳出法案をめぐって初めて大きな意見の相違が生じた直後、政権からの離脱を表明した。

マスク氏はX(旧ツイッター)に、「特別政府職員としての任期が終わりに近づく中、無駄な歳出を削減する機会を与えてくれたドナルド・トランプ大統領に感謝したい」と投稿した。

「DOGEの使命は、政府全体に浸透し、時間とともに強化されるだろう」と付け加えた。

南アフリカ生まれのマスク氏は、トランプ氏の法案は財政赤字を拡大させ、数万人を解雇したDOGEの活動を阻害するものだと述べた。

スペースXとテスラの経営に注力するために役割を縮小するまで、常にトランプ氏の側にいたマスク氏は、DOGEが政権への不満の「スケープゴート」にされていると不満もこぼした。

マスク氏は、「率直に言って、この巨額の歳出法案は財政赤字を減らすどころか、むしろ増加させ、DOGEチームの活動を阻害する。私は失望している」と述べた。

トランプ氏の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」は、先週下院を通過し、現在上院で審議されている。大規模な減税と歳出削減を盛り込んでおり、内政政策の目玉となっている。

だが、この法案が医療制度を崩壊させ、財政赤字を10年間で最大4兆ドル(575兆円)増加させるとの批判の声も上がっている。

マスク氏は「法案は大きなものにも、素晴らしいものにもなり得る。だが、両立できるかどうかは分からない。これは私の個人的な意見だ」と述べた。(c)AFP