【3月22日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は21日、盟友で世界一の大富豪のイーロン・マスク氏が中国との戦争を想定した米国の最高機密を見ることは許されないと述べ、マスク氏のビジネス上のつながりによって潜在的な利益相反が起きていることを認める異例の発言を行った。

トランプ氏は、政府効率化省(DOGE)を率いるマスク氏が、国防総省の戦争戦略に関する機密について説明を受けているとの報道を強く否定した。

電気自動車(EV)大手テスラ、宇宙開発企業スペースXの最高経営責任者(CEO)を務めるマスク氏は、中国とビジネス上の大きな利害関係を持ちながら、米国との巨額な防衛契約も抱えており、選挙で選ばれていない大統領上級顧問という立場上、その影響力をめぐって懸念が生じている。

トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し、「(国防総省の戦争戦略に関する機密は)誰にも見せたくはない。中国との潜在的な戦争について話している」と主張。

「われわれにこれほど貢献してくれている実業家であろうと、見せるはずがない。イーロンは中国で事業を展開しているので、おそらく同国の影響を受けやすいだろう」と続けた。

一方で、マスク氏を「愛国者」と呼び、国防総省を含む連邦政府の歳出を削減する取り組みを称賛した。

マスク氏は同日、国防総省を訪問した。

この訪問について米紙ニューヨーク・タイムズが最初に、マスク氏は「タンク」と呼ばれるセキュリティールームで、海戦術とターゲティング計画に関する説明を受ける予定だと報じた。

これに対しトランプ氏は、「彼ら(ニューヨーク・タイムズ)は国民の敵だ」と批判した。

同紙は、国防総省での説明会は報道を受けて中止されたとしている。(c)AFP