【4月30日 AFP】米国史上最も過激で積極的な政権運営ぶりを見せつけてきたドナルド・トランプ大統領は29日、就任後最初の100日間を祝った。だが世論調査では、経済的・政治的な混乱が引き起こされたことに、国民は幻滅しつつあることが示されている。

第47代大統領のトランプ氏は、昨年11月の大統領選で民主党候補カマラ・ハリス氏を大差で破った激戦州ミシガン州を訪れて集会を開き、政権にさらに弾みをつけようと試みた。

トランプ氏ほど、米国を大きく揺るがした大統領はほぼいない。盟友イーロン・マスク氏は連邦政府職員を大幅に削減。トランプ氏自身は広範な関税を導入し、同盟国を非難、対外援助を大幅縮小するなど、世界との関係を再構築した。

世論調査によると、トランプ氏にとっての就任後100日間は、歴代大統領が享受してきた「ハネムーン期間」とはならなかった。27日に発表されたワシントン・ポストとABCニュースの調査では、トランプ氏の業績を支持するとの回答は39%にとどまった。

調査では、最も人気のある政策課題である移民取り締まりに関しても、適正手続きなしの強制送還をめぐる論争が続く中、支持が低下していることが示された。

トランプ氏は怒り、調査結果を否定したが、株式市場が動揺する中、一部の政策を緩和する必要があることを暗に認めている。

就任以来、米株価は6%超下落した。ただ29日は、自動車業界を対象とする、関税負担の一部軽減措置に関する報を受けて株価は上昇に転じた。

■「すべてやり遂げた」

「トランプ関税」を受けインフレ再燃の恐れがあると警告していた、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長を解任するという脅しについては、最近撤回した。

2017~2021年の1期目にはトランプ氏を制御しようとする補佐役もいたが、2期目は盲従する忠誠者に囲まれている。トランプ氏はこの日、記者団に対し、2期目の目標をすべて達成する軌道に乗っているとの認識を示した。

「すべてをやり遂げたか、あるいは進行中だと思う」と、ミシガン州ウォーレンのコミュニティーカレッジでの集会に向かう準備をしながら、トランプ氏は語った。

質疑応答で、ローマ・カトリック教会の次期教皇として意中の人物がいるか問われたのに対し、「私が教皇になりたい。それが第一の希望だ」と、冗談を飛ばした。

トランプ氏は、ホワイトハウスのエントランスホールに飾られていた米国初の黒人大統領、バラク・オバマ氏の肖像画を外し、自身が暗殺未遂から生還した絵に差し替えた。

かつて自身を相手取った訴訟に関与していた法律事務所に対しては、政府へのアクセスと契約発注を停止すると圧力をかけている。政権批判の温床になっているとして、大学への数十億ドルの助成金を凍結した。

トランプ氏には焦りの兆候も見られる。大統領選に向けてウクライナ紛争を24時間以内に終わらせると公約したが、ロシアは停戦案を拒否している。

テレビのリアリティー番組の元司会者でもあるトランプ氏は、当時の約束は「冗談」だったと主張しているが、CNNは、就任前に50回以上、同様の発言をしており、真剣さを強調しようとしていた節さえあると報じている。(c)AFP/Ben TURNER, with Aurelia END in Washington