【4月29日 AFP】ローマ教皇庁(バチカン)は28日、新教皇を選出するための教皇選挙(コンクラーベ)を5月7日に開始することが枢機卿総会で決定されたと発表した。

コンクラーベでは、80歳未満のいわゆる「枢機卿選挙人」がシスティーナ礼拝堂に集まり、21日に死去したフランシスコ教皇(享年88)の後任を選ぶ。投票権を持つのは、枢機卿総会のために世界中からローマに召集された枢機卿252人のうち135人。

秘密裏に行われる投票は数日、あるいはそれ以上かかる可能性がある。投票は毎日午前に2回、午後に2回行われ、いずれかの候補が3分の2以上の票を得るまで続けられる。

枢機卿総会では、新教皇が取り組むべき喫緊の課題として、宣教や他宗教との関係に加え、ローマ・カトリック教会の聖職者による性的虐待問題が取り上げられた。

■選挙の行方

スペインのホセ・コボ枢機卿は27日付の同国紙パイスのインタビューで「フランシスコが(選出されたのも)意外だったが、今回のコンクラーベも予測不可能なものになるだろう」と語った。

世界中で紛争や外交危機が続く中、後継者の最有力候補に挙げられているのは、フランシスコ教皇の下でナンバー2としてバチカンの国務長官(首相)を務めたイタリアのピエトロ・パロリン枢機卿だ。

英国のブックメーカー(公認賭元業者)のウィリアム・ヒルは、パロリン枢機卿を筆頭候補に挙げ、次いでフィリピン・マニラ大司教のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿、ガーナのピーター・タークソン枢機卿も有力としている。

このほか、イタリア・ボローニャ大司教のマッテオ・ズッピ枢機卿、ギニアのロバート・サラ枢機卿、エルサレム・ラテン典礼総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿の名前も取り沙汰されている。

より思いやりのある教会を築こうとしたフランシスコ教皇の取り組みは広範な支持と尊敬を集めたが、その改革の一部は、特に米国とアフリカにおいて教会内の保守派を憤らせた。

ローマにある教皇庁立グレゴリアン大学で教会史と文化を教えるロベルト・レゴリ教授はAFPに対し、枢機卿たちは「より大きな統一を築く方法を知っている人物」を探すことになるだろうと語った。「カトリック教会は現在、さまざまな分極化を経験している時期にあり、短期間で終わるコンクラーベにはならないだろう」

中央アフリカ共和国のディエドネ・ンザパラインガ枢機卿は、イタリア紙イル・メッサジェロにこう話した。

「力強く語り、嵐の中でも教会のかじをしっかりと握り続けることのできる、勇敢で大胆な指導者が必要だ。大いなる不確実性の時代にあって、安定をもたらす人物が求められている」(c)AFP/Ella IDE, Clément MELKI