【4月18日 AFP】スイスの3月の米国向け時計輸出が、前年同月比約14%と急増した。ドナルド・トランプ米大統領による高関税の発動を前に、小売業者が在庫を積み増したことが背景にあるとみられる。

米国はスイス製品に対し、最大31%の関税を課す方針。アナリストらは、伝統あるスイスの時計製造業が最も大きな打撃を受ける可能性があると警告している。

米トランプ政権は追加関税の発動を90日間延期したものの、一律10%の基本関税は4月5日に導入された。

スイス時計協会(FHS)の発表によると、3月の同国の米国向け時計輸出は前年同月比13.7%増となり、前月の6.7%減から大きく回復した。

スイスのプライベートバンク、ボントベルのアナリストは「米国向け輸出が14%増加したのは、関税をめぐる混乱が背景にある。出荷は数週間前からすでに始まっていた」と指摘した。

仏金融ケプラー・シュブローのアナリストも「米国向け輸出は、スイス側のメーカーが出荷を増やし、米国の小売業者が4月の関税発動を見越して仕入れを前倒しした動きの表れだろう」と分析している。

米国は2021年以降、スイス製時計にとって最大の輸出先となっており、長らくトップ市場だった香港や中国を上回っている。(c)AFP