【3月12日 AFP】デンマーク領グリーンランドで11日、議会選挙(定数31)が行われ、即日開票された。12日朝の時点で集計が続いているが、中道右派の野党・民主党が予想外の勝利を確実にした。また、早期の独立を掲げる民族主義政党・ナレラック党も躍進した。ドナルド・トランプ米大統領がグリーンランドの領有に関心を示していることから、今回の選挙は国際的にも注目された。

公共放送KNRによると、72の投票所のうち71か所の開票結果が判明した時点で、民主党が得票率29.9%を獲得し、第1党となる見通しだ。ナレラック党が24.5%でこれに続いている。

民主党は「社会自由主義」を掲げ、長期的な独立を目指しているのに対し、ナレラック党は早期の独立を求めている。

左派の環境保護派政党・イヌイット・アタカチギット(IA)党を率いるムテ・エーエデ自治政府首相はKNRの取材に対し、「選挙結果を尊重する」と述べた。同党と連立を組むシウムート党も敗北を認めた。

いずれの政党も過半数を獲得できない見通しで、今後数日間で連立交渉が行われるとみられる。

トランプ氏はグリーンランドを「是が非でも」手に入れたいと発言しており、選挙戦の終盤まで影響力を行使しようと試みた。9日には、グリーンランドの有権者に対し「世界で最も偉大な国である米国の一部になろう」と呼びかけ、「豊かにしてみせる」と約束した。

しかし、1月に発表された最新世論調査では、住民の85%がトランプ氏の領有構想に反対していることが判明している。

トランプ氏の一連の発言を受け、一部の独立支持者の間では、むしろ冷静な判断が広がり、少なくとも当面はデンマークとの関係を維持する方が得策だと考える人も増えた。ある男性有権者は、「もし独立すれば、トランプがさらに圧力をかけてくるかもしれない。それが怖い」と語った。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES, with Camille BAS-WOHLERT in Copenhagen