■「誰でも公平にアクセスできる環境にはない」

英国の二大教員組合の一つ、全英教員組合(NEU)は先週、「政府がデジタルツールの活用について教師の研修を重視している点を評価する」と表明した。

一方で、NEU代表のダニエル・ケベデ氏は、政府がこうした目標を打ち出すなら「各学校のテクノロジーとITインフラに大規模な投資を行う」必要があると警告した。

ラッキン氏も、「こうしたAI教師がどれほど効果的か」は疑問だとし、試験的なプログラムでAIが生徒らにどれほどプラス、あるいはマイナスの影響を与えているかについて「確固たる証拠」を示してほしいと主張。

さらに、生徒らが他者と接することで得られる「社会的学習の時間をしっかり」持てているかどうかについても懸念を示した。この問題についてデービッド・ゲーム・カレッジ側は、クラスメートと過ごす時間は十分にあると説明している。

ダルトン校長は、AIプログラムにより生徒の知識の偏りを特定しやすいと主張する。

だが、同校のAIプログラムの年間受講料は2万7000ポンド(約520万円)と高額だ。英国の平均的な私立学校の年間授業料を1万ポンド(約190万円)も上回る。このAIプログラムのモデルは「エリート」用だとラッキン氏は主張する。

さらに同氏は、テクノロジーやデータのインフラに誰でも公平にアクセスできる環境にはない点についても懸念を示した。

デービッド・ゲーム・カレッジがうたっている「コーチによる個別サポートの手厚さ」も「どこでも再現できるわけではない」と指摘。

「こうした実例から学ぶ必要はあるが、これがあらゆる人の未来を示しているとは思わない」と述べた。(c)AFP