【8月31日 AFP】フランス南部アビニョン(Avignon)で9月2日、強い鎮静剤で妻の意識を失わせてインターネットで募った男数十人にレイプさせたとして起訴された仏電力大手EDFの元従業員ドミニク・P(Dominique P.)被告(71)の公判が始まる。事件は全仏を震撼(しんかん)させた。

 本件では、主犯のドミニク被告の他に50人が同被告の妻をレイプした罪に問われている。

 妻の代理人弁護士アントワーヌ・カミュ(Antoine Camus)氏は裁判について、現在70代で氏名非公表を望んでいる妻にとって「過酷な試練」になるだろうと指摘。

 AFPの取材に対し、「彼女は事件後かなりたってから初めて、10年以上にわたって受け続けたレイプの苦難に耐えなければならない」と語った。妻はレイプの「記憶がなく」、2020年になって初めて自分がレイプされていたことを知ったという。

 妻は非公開審理を求めることもできたが、そうしなかった。被告らも非公開審理を望んでいたからだという。

 カミュ氏は「彼女は加害者らと夫と向き合う決意を固めている。彼女は50年以上連れ添った夫のことを、68歳になるまで何も分かっていなかった」と語った。

 事件発覚のきっかけは、2020年9月にドミニク被告がショッピングセンターで3人の女性のスカートの中を盗撮しているところを警備員に見つかったことだった。

 警察がドミニク被告のパソコンを調べたところ、妻の写真と動画数千点が見つかった。妻は明らかに意識がなく、ほとんどは胎児のような姿勢で体を折り曲げていた。

 これらの画像は、アビニョンから33キロほど離れた人口6000人の村マザン(Mazan)にあるドミニク被告夫婦の自宅でのレイプ数十件の場面を撮影した時のものとみられている。