■自宅のすぐそばにできた穴

 農家のアデム・エキメキチさん(57)は、昨年、自分の畑に陥没穴ができ、数本のアンズとクワの木がのみ込まれたと話す。

「突然足が滑ったことがあった。下を見たら地面に亀裂があった」

「(その後、)戻った時には土が崩れて木が穴の中に落ちていた。本当に恐ろしかった」

 エキメキチさんの10ヘクタールの農地には幅50メートルの陥没穴が二つあり、うち一つは自宅からわずか10メートルのところに開いた。

 最初に亀裂に気づいたのは2018年。エキメキチさんは自治体当局に報告し、亀裂を石で埋めてもらった。しかしその2年後に地面は崩れ、深さ20メートルの穴が開いた。

 エキメキチさんは、その夜は恐ろしくてあまり眠れなかったと振り返る。しかし、他に行くところがないため、穴との共存を決めたのだという。

 この地域ではこれまで死傷者は出ていない。だが、そのリスクについてはすべての住民が理解している。

 羊を放牧していたアフガニスタン人のオメルさん(27)は、群れが陥没穴にのみ込まれてしまうのではと戦々恐々だとAFPに話した。

「考えたくはないが、1頭が落ちたら他の羊も続いてしまうと思う」

 コンヤの降雨量は昨冬、平年よりも4割ほど少なかった。トルコ国内の小麦36%、ビーツ35%を生産するコンヤの農家にとっては厳しい状況が続くこととなった。

 こうした状況に対処するため違法に井戸を掘る農家もいる。そうすると、地盤はさらに脆(もろ)くなる。

 しかし専門家によると、渇望されている雨でかえって状況が悪化することも考えられるという。水が地盤に圧力をかけてしまい、崩壊を加速させてしまう恐れがあるためだ。