「どこに開くかわからない」 トルコ穀倉地帯で急増する陥没穴
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【10月18日 AFP】トルコ・コンヤ(Konya)県で農業を営むファティ・シクさん(45)は、地面に突然大きな穴が開いてのみ込まれてしまう恐れがあると知りつつも、トラクターでトウモロコシ畑を耕し続ける。
農業が盛んなコンヤ県はトルコの「パンかご」とも呼ばれる。地元カラプナル(Karapinar)出身のシクさんの土地には巨大な陥没穴がすでに二つある。
シクさんはAFPに「どこに穴が開くかわからない。そのことばかり考えている。穴に落ちて死んでしまうのではないかと不安だ」と話す。
「でも働かなければ家族が飢えてしまう」
コンヤ県のあるアナトリア(Anatolia)半島の中部一帯には、何世紀も前から陥没穴が存在しているが、近年、その数が急増している。専門家は、度重なる干ばつとそれに伴い農業潅水で地下水を過剰に利用していることがその背景にあると指摘する。
陥没穴は深く、中にはその深さが50メートルの及ぶものもある。遠くからは見えないが、コンヤ平原に広がるトウモロコシやビート、麦の広大な畑の中ではこうした陥没穴が突然目の前にその姿を現す。
コンヤ工科大学(Konya Technical University)のアリフ・デリカン(Arif Delikan)准教授は「陥没穴ができる主な原因の一つは気候変動だ」と言う。
デリカン氏は、コンヤ県で確認した陥没穴640個のうち、600個以上がカラプナルにあると指摘し、「過去1年で約20個の穴がカラプナル内にできた」と説明した。
また、同氏と政府の災害緊急事態対策庁 (AFAD)は、2700地点以上で地表の変形と非地震性の亀裂を確認している。これらの場所では、陥没穴が発生するリスクがあるため、調査の必要がある。
陥没穴は、水に侵食された地盤に空洞が生じ、地表が崩れることで出現する。自然に形成されることもあれば、人的活動が直接・間接的に作用してできることもある。徐々に現れることもあれば、ほぼ前兆なく突然開くこともある。