中国競泳の薬物スキャンダル、CHINADAが米紙報道に反発
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【6月18日 AFP】中国反ドーピング機関(CHINADA)は17日、2021年東京五輪前のドーピングスキャンダルに揺れている同国の競泳選手3人が、その数年前に別の検査でも禁止薬物が検出されていたと報じられたことに対し、記事を掲載した米紙ニューヨーク・タイムズが「メディア倫理と道徳」に違反していると反発した。
中国の競泳選手23人がドーピング検査で陽性となりながらも東京五輪出場を認められていた問題で、同紙は14日、同五輪の金メダリスト2人と現世界記録保持者1人の中国選手3人が、2016年と2017年の検査で禁止物質のクレンブテロール(clenbuterol)に陽性反応を示していたと伝えた。中国当局は、3人が汚染された食べ物を誤って摂取したとして、処分は下さなかったと説明したとされている。
CHINADAはこの日AFPへの声明で、「ニューヨーク・タイムズのようなメディアによって、非公表の書類や情報、さらには(未成年を含む)アスリートのプライバシーが不正に公開されたことは把握している」と批判し、同紙が「食品汚染が原因であるクレンブテロールの陽性反応を、アスリートによる意図的なドーピングであると誤解した」と補足した。
「これはメディアの倫理と道徳に違反している。そして、反ドーピング活動への人々の理解を誤った方向に導くものであり、世界反ドーピング機関(WADA)とCHINADA、そして世界の反ドーピングシステムに深刻な損害を与えている」
WADAは先日声明を発表し、問題の3選手から検出されたクレンブテロールの値は、現在同機関が定めている最低報告レベルの「6分の1から50分の1」のものだったとしている。
当時この3選手の問題が公にされなかった理由については、明らかにされていない。(c)AFP