【5月25日 AFP】新型コロナウイルスが猛威を振るった2019~21年に世界の平均寿命(出生時平均余命)は2年近く短くなったとする調査結果を世界保健機関(WHO)が24日、世界保健統計の2023年版で発表した。

 平均寿命と健康寿命は着実に伸びてきたが、新型コロナにより後退したとしている。

 WHOの年次報告書によれば、2021年の世界の平均寿命は1.8歳短くなり、71.4歳。健康寿命は1.5歳縮まり、61.9歳。いずれも2012年と同水準に落ち込んだ。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に今年1月掲載された論文では、新型コロナの流行時に平均寿命は1.6歳短くなったとの調査結果が明らかにされていたが、WHOの報告はそれを上回る落ち込みとなっている。

 同論文の研究チームは、新型コロナはこの半世紀のどんな要因よりも平均寿命に「多大な影響」を与えたと指摘。新型コロナ、もしくはその流行に伴う医療崩壊による2020~21年の超過死亡は1590万人に上ったと推定している。

 だが、WHOの調査によれば、平均寿命は世界中で一律に短くなったわけではない。

 北南米と東南アジアは新型コロナの影響が最も大きく、平均寿命は約3歳縮まった。一方で西太平洋は最も影響が少なく、わずか0.1歳の短縮にとどまった。(c)AFP