【4月25日 AFP】ベルギーで23日、体内でアルコールが生成される非常にまれな疾患「自動醸造症候群(ABS)」の男性(40)が、飲酒運転の罪に問われた裁判で無罪になった。

 ABSは代謝疾患の一種で、胃腸内で炭水化物の発酵することで血中アルコール濃度が上昇し、酩酊(めいてい)の兆候が起きる。

 弁護人によると、3人の医師による検査で男性がABSと診断された証拠を提出。裁判所は法律で想定されていない要因の存在を認め、男性に無罪を言い渡した。

 弁護人によると現在、ABSと正式に診断されている患者は世界で20人程度。だが専門家らは、症例数が過小評価されているとみている。

 男性は2022年4月に車を運転中、警察に止められ、呼気検査で1リットル当たり0.91ミリグラムのアルコールが検出された。1か月後の検査でも同0.71ミリグラムが検出された。

 ベルギーの酒気帯び運転の基準値は呼気中0.22ミリグラムで、血中アルコール濃度に換算すると0.5グラムに相当する。

 男性は2019年にも、飲酒はまったくしていないと抗議したにもかかわらず、罰金と運転免許の停止処分を受けていた。今回の裁判で判明するまで、自分の疾患には気付いていなかったとみられる。

  弁護人によれば、検察は1か月以内に控訴できるため、男性は正式な無罪判決の通知を待っている。男性は、胃でのアルコール生成を抑えるため、炭水化物を控えた食事をしているという。(c)AFP