【4⽉25⽇ Peopleʼs Daily】中国・吉林省(Jilin)長春市(Changchun)で先ごろ、中国初の水素エネルギー都市鉄道列車が時速160キロの試験運転に成功した。開発したのは鉄道車両メーカーの中国中車(CRRC)傘下の中車長春軌道客車(中車長客、CRRC Changchun Railway Vehicles)で、独自開発した水素・電気ハイブリッドシステムを採用した。試験運転で消費した電力量は1キロ当たり5キロワット時だった。水素エネルギー列車1編成は全ライフサイクルで、5万台の自動車が5000キロを走行した場合に相当する約5万トンの二酸化炭素の排出を削減できるという。

 中国は世界の水素総生産量の3分の1以上を占める世界最大の水素生産国であり、2022年の水素生産量は約3533万トンだった。中国水素エネルギー連盟の予想によると、中国の水素エネルギー産業の生産額は2025年までに1兆元(約21兆3000億円)に達する。2050年までに水素需要は6000万トンに近づき、二酸化炭素排出量を約7億トン削減する。中国の末端エネルギーシステムに占める水素エネルギーの割合は10%を超え、産業チェーンの年間生産額は12兆元(約256兆円)に達する。

 国際協力も急速に進展している。近年は外国企業と中国企業の関連提携が増えている。現代自動車(Hyundai Motor)やトヨタ自動車(Toyota Motor)などの自動車企業は中国で水素燃料電池プロジェクトを展開しており、シーメンス(Siemens)や米エンジンメーカーのカミンズも中国で水素製造を始めた。

 同時に、中国も水素分野での「海外進出」を続けている。中国能源建設(中国能建、CEEC)はエジプト政府との協定に基づきスエズ運河(Suez Canal)特別経済区に67億5000万ドル(約1兆400億円)相当を投じてグリーン水素・アンモニア工場を建設する計画であり、目標は年間120万トンのグリーンアンモニアと21万トンのグリーン水素の生産だ。エジプト政府は同プロジェクトがエジプトのエネルギー転換と持続可能な発展に大きく貢献すると考えている。

 国家能源集団とフランス電力(EDF)は2023年4月、風力発電と太陽光発電で得たエネルギーを水素として貯蔵する「風光水素貯蔵」のモデルプロジェクトを江蘇省(Jiangsu)内で共同実施する協定に調印した。設備総容量は150万キロワットを計画している。江蘇国富水素エネルギー技術装備は2023年初め、ブラジルのYDRO社と戦略的提携協定を締結した。両社は合弁会社を設立して、2024年にはブラジル国内に水素を製造する電解槽の生産工場を1か所設置し、2025年までに水電解水素製造システムを50基以上生産する計画だ。中車株洲電力機車研究所(CRRC Zhuzhou Institute)や飛馳汽車科技などの中国企業は、マレーシアに水素動力を使うバスと市街電車車両を輸出した。

 国連事務局事務総長室気候変動チームのセルウィン・ハート(Selwin Hart)特別顧問は、「中国は水素産業などグリーンエネルギー発展の分野で引き続き積極的な役割を発揮し、より多くの人が再生可能エネルギーを利用することに貢献するだろう」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News