【3月17日 東方新報】最近の中国では、いわゆる「健康をうたう食品」のライブストリーミング販売が、消費者を自身のプライベートサイトに引き込んで商品を売る「私域流量」という販売手法の代表商品として急速に成長し、市場の主流を占めるまでになっている。

 上海市消費者権益保護委員会はそのような食品を調査し、13日に結果を発表し、多くの問題が存在することを指摘した。

 糖分の含有量を消費者に誤解させている点が重大な問題で、食品のラベル表示は適切さを欠いており、「添加物ゼロ」や「高・富・減・低」などの表現の恣意的で不適切な使われ方が目立ったとしている。

 このライブストリーミング消費市場調査では、消費者が頻繁に利用する14のオンラインショッピングプラットフォームの100のライブルームを監視し、低脂肪、低糖、低ナトリウム、低エネルギー、高タンパク質など栄養と健康をうたう各種の食品を実際に購入し、ライブの説明、宣伝、購入プロセスなど全体を録画して証拠を収集した。

 委員会は、消費者の知る権利、選択権、公正な取引の権利など複数の側面から100のライブルームの評価を行った。その結果、ライブルームの全体平均得点は10点満点中の5.44点となった。

 委員会は、店舗のライブルームとインフルエンサーのライブルームの比較評価も行った。その結果、店舗のライブルームは4.65点、インフルエンサーのライブルームは6.49点であった。

 また委員会は、購入したサンプルを製品カテゴリーごとの横断的な評価も行った。その平均得点は高い方から、乳製品8.08点、飲料6.53点、砂糖漬け果物5.14点、穀物製品4.89点、ケーキ類4.67点、スナック類4.15点の順となった。

 調査した100のライブルームのうち、83のライブルームが「無糖、無蔗糖、砂糖不使用、蔗糖不使用」をうたう商品を扱っていた。

 ライブルームのホストたちは、「小糖人(糖尿病患者)」「糖友宝宝(血糖値の抑制が必要な人)」「糖分管理者」「妊婦」「高齢者」「子ども」向けのうたい文句を強調し、これらの人たちを安心させ、大量に購入するように誘引していた。

 ホストの口頭説明、ウェブページの詳細ページ、製品のラベルと検査結果を比較すると、名目と実際が一致しないものがほぼ半数に達していた。無糖を宣言していた製品の中には実際には糖分含有量が非常に高いものもあった。

 この調査では「添加物ゼロ」をうたう商品が合計66種類あり、ライブの口頭説明、ウェブページと製品パッケージに「添加色素ゼロ」「防腐剤ゼロ」などの言葉が含まれていた。

 しかし実際には、そもそも色素や防腐剂を添加する必要がない製品もあった。

 また一部の「添加物ゼロ」の商品は、実際には添加物が検出されるケースもあった。こうした場合、「原料そのものに入っていたものだ」と言い訳して消費者を欺こうとする者もいた。

 さらに、一部のホストは食品安全と栄養に関する専門知識を著しく欠いており、一般消費者の誤解を招きやすいことが明らかとなったという。(c)東方新報/AFPBB News