【3⽉1⽇ Peopleʼs Daily】中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ロカ市(Lhoka)内の標高5000メートル前後の高原では、8万枚近い太陽光発電パネルが陽光に照らされている。この世界で最も標高が高い場所にある華電チベット才朋太陽光発電プロジェクトは2023年12月30日に約4000世帯の電力需要を満たせる送電を開始した。

 天合光能の高紀凡(Gao Jifan)会長は「弊社の超高出力コンポーネントが採用されています。受注から出荷完了まで1か月余りしかかかりませんでした」と説明した。高会長は、22年前に初めてチベットで仕事をした時のことを回想した。機器はすべて人と馬で現場まで運ばねばならなかった。発電所1か所に太陽光発電パネルは数十枚しかなかった。そして機器は輸入品だった。当時の中国には太陽光発電製品を製造する企業が極めて少なかった。

 しかし中国では今や、世界の太陽光発電設備が容量換算で約5割、主要製造品の8割以上が製造されている。中国太陽光発電業界協会によると、2023年1-10月の太陽光発電生産額は1兆3000億元(約27兆1000億円)を超えた。同年1-9月のシリコンウエハーの輸出量は前年同期比88.3%増で、セルでは74.3%増、コンポーネントでは33%増だった。

 隆基緑能科技(ロンジソーラー)は2023年12月、単結晶シリコン太陽電池の効率で27.09%の世界記録を樹立した。同社にとって、2022年に26.81%の世界記録を樹立したことに続く快挙だった。

 記録更新を繰り返す原動力は研究開発の継続だ。ロンジソーラーの過去5年間の研究開発投資額は180億元(約3760億円)を超えた。

 ボアオ・アジアフォーラム(Boao Forum for Asia)の常設会場がある海南省(Hainan)の東嶼島(Dongyu Island)では建物一体型太陽光発電(BIPV)が採用されている。BIPVでは、屋根の上に後から設置する太陽光パネル間の通路の問題などを考える必要がないので、同じ屋根面積でより大容量のコンポーネントを設置でき、発電量を約15%向上させることができる。

 2年ほど前からは、海外での生産拠点設置も盛んになった。例えば電気機器メーカーのTCL科技集団(TCL Technology)傘下のTCL中環はサウジアラビアでの太陽光発電結晶ウエハー工場の建設を積極推進し、晶澳科技(JAソーラー)は約27億1500万元(約567億円)を投じてベトナムで年産5ギガワット高効率電池プロジェクトを進めている。

 中国太陽光発電業界協会の劉訳陽(Liu Yiyang)副事務長によると、太陽光発電関連企業の海外進出では、川上から川下までの産業チェーン全体の海外進出が目立つ。劉副事務長は、「これまでの単純な製品輸出から、生産・管理・ブランド・サービスの提供に移行しています」と説明した。

 中国の太陽光発電関連産業は「中国製を世界で売る」から「世界で作り世界で売る」に進化し、積極的に世界の産業体系に溶け込み、グリーンエネルギーなどの分野で国際協力を展開する方向に進みつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News