【2月11日 AFP】イタリアの首都ローマの他のレストランでは、料理によだれをたらすのは禁物だろう。だが同国初の愛犬レストラン「フィウト(Fiuto、嗅覚の意)」の顧客は、チキンとマッシュポテトの乗った皿をよだれまみれにし、食べた後は皿をきれいになめる。

 柔らかい照明、ゆったりと流れるラウンジミュージック。気配りの行き届いたスタッフが、飼い主とペットをテーブルに案内し、エンドウマメのピューレとフォンティーナチーズがかかったゆで卵や、シンプルにリコッタチーズとズッキーニを添えた魚といったメニューを勧める。

 のどが渇いた子犬なら青リンゴとスイカのミックスジュースや、洋ナシ、イチゴ、バナナのジュースを選ぶこともできる。

 ドッグトレーナー出身の料理長、ルカ・グラマティコ氏は「犬は人間よりもアレルギーが多いので、動物栄養管理士と一緒に考慮しながら食材を決めた」と説明する。「香辛料も塩も油も使っていません」

 犬用のメニューはサイズに合わせて、S(体重2~10キロ)、M(11~20キロ)、L(21~30キロ)、そしてXL(30キロ以上)と4種類の分量が用意されている。飼い主用とは別のキッチンで調理される。

「魚は普段のフードと違う味付けなので、とても人気がある」とグラマティコ氏は話す。

 不動産業者のサラ・ニコサンティさん(36)は鏡張りのエリアで、5歳になるジャックラッセルテリアの「マンゴー」と自撮りをしていた。「ペットは家族の一員だから、家族のように接するのは当然だ」

 10月のオープン以来、平日は毎晩平均6~10匹、週末は10~15匹の犬が訪れる。犬の大きさにもよるが、1匹当たりにかかる料金は8~20ユーロ(約1300~3200円)だ。

 共同創業者3人のうちの一人、マルコ・トゥラノさん(33)はローマのミルビオ橋(Ponte Milvio)に近くに開いたこの店が、これほど成功するとは思っていなかった。

 弁護士のロミーナ・ランツァさん(40)は、愛犬「ルディ」の4歳の誕生日を祝っていた。ろうそくはなかったが、特製のバースデーケーキが用意された。「青リンゴの残り香がするリコッタチーズ入りのチーズビスケット」だった。(c)AFP/Gildas LE ROUX