道が凍ったソウル市麻浦区(マポグ)のある路地(c)news1
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【01月27日 KOREA WAVE】韓国の餃子屋で商品を買って出てきたら、店の前のアイスバーンで転んだ。責任は次のうち誰にあるだろうか。

(1)注意しないお客

(2)アイスバーンを片付けなかった店の経営者

(3)餃子屋と保険契約を結んだ保険会社

(4)家で寝ていた餃子屋の建物所有者

正解はその都度違う。店の経営者が除雪作業をするなど注意を払ったにもかかわらず事故が起きたら、客の責任になる可能性が高い。雪かきをしなかったら経営者の責任になり得る。建物所有者にも施設物管理の責任がある。誰もが責任を分担することになる。

法的な賠償責任は状況によって異なる。

韓国で冬場の凍りついた路面での転倒事故が相次ぎ、法廷で責任の主体をめぐって連日攻防が繰り広げられている。専門家は、危険の予見可能性と管理怠慢の有無がポイントだと指摘している。

◇責任根拠は関連法に明記

除雪や除氷の責任根拠は、災害や安全管理基本法(災害安全法)と自然災害対策法などに明記されている。

まず国家と地方自治体は災害安全法により災害や事故から国民の生命・身体や財産を保護する義務がある。しかし、すべての行政力を各自の家や店の前まで及ばすのは限界がある。

これに対し同法5条には国民の責務が明示されている。

「自己が所有し、又は使用する建物・施設等から災害その他の各種事故が発生しないように努めなければならない」

自然災害対策法27条によると、建築物の所有者・占有者または管理者として管理責任を有する者は、建築物周辺の歩道、裏面道路、歩行者専用道路、施設物屋根の除雪・除氷作業を行わなければならない。具体的な責任範囲は、各自治体の条例で定めることになっている。

これに伴い、地方自治体はいわゆる「マイホーム・店舗前除雪」条例を制定し施行している。

内容は大同小異だ。例えば、「ソウル市建築物管理者の除雪・除氷に関する条例」の場合、除雪・除氷責任の順位を▽所有者が建築物内に居住する場合、所有者・占有者や管理者の順▽所有者が建築物内に居住しない場合、占有者・管理者と所有者の順と定めている。建物所有者が該当建物に住まなければ借家人や管理者の責任が先行し、反対の場合は建物所有者の責任が優先される。これらの責任順位を合意によって定めることもできる。

範囲は、住居用建築物の場合、建築物の主な出入り口部分の敷地境界線から1メートルまで、非住居用建築物は建築物の敷地境界線から1メートルまで雪やアイスバーンを除去しなければならない。建築物と接した歩道や施設の屋根も含まれる。

しかし、このような法と条例に罰則規定がなく、守らなくても罰金や過料を課さない。責任は明示されているが、強制性はないということだ。消防防災庁が2010年「マイホーム・マイ店舗前除雪」を守らなければ最大100万ウォン(1ウォン=約0.1円)の過怠金を賦課する法改正を推進したが反対世論で阻まれた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News