【1月11日 AFP】サッカー元中国代表監督の李鉄(Li Tie)氏が、その座を確保するために数千万円の賄賂を渡したことや、八百長への関与をテレビのインタビューで明かした。同国サッカー界は汚職の取り締まりが厳しく行われており、多くの指導者的立場の人物が捜査されたり、起訴されたりしている。

 イングランド・プレミアリーグのエバートン(Everton)で活躍し、代表監督も務めた李氏は2022年に捜査対象となり、「重大な法律、規律違反の疑い」の疑いで当局から告発された。

 9日夜に国営中国中央テレビ(CCTV)で放送された反汚職ドキュメンタリーの中で李氏が告白するまで、この汚職事件に関する詳細な情報は明らかになっていなかった。

 番組の中で李氏は、代表監督の座を手にするため約300万元(約6000万円)の賄賂を手配し、当時指揮していたスーパーリーグ(1部)の武漢卓爾(Wuhan Zall、現在は解散)では八百長に加担していたと話した。

 李氏は「非常に申し訳ない。正しい道を進むべきだった。当時のサッカー界では一般的な慣習であることがいくつかあった」と述べた。

 李氏は当時指揮官を務めていた武漢卓爾に対し、自身に代わって中国サッカー協会(CFA)への介入を要請し、その恩返しを約束したという。クラブは、当時のCFA会長でこちらも汚職捜査の対象となっている陳戌源(Chen Xuyuan)に約200万元(約4000万円)の賄賂を渡し、李氏自身もCFAの事務局長に自腹で約100万元(約2000万円)を渡したという。

 李氏の代表監督就任後、武漢卓爾の4選手が招集を受けたが、ドキュメンタリーの中でインタビューに応じたクラブの元会長は、代表レベルでプレーできる選手たちではなかったと述べた。

 中国代表は最終的に2022年W杯カタール大会(2022 World Cup)の出場権を逃し、李氏は2021年に辞任している。

 当局は2022年の年末に李氏に対する捜査を開始。その後、陳元会長を含むCFA幹部ら約10人が失脚している。(c)AFP