【11月23日 AFP】ロシア・サンクトペテルブルク(St. Petersburg)の裁判所は22日、ロシアによるウクライナ侵攻に抗議し徴兵事務所に火炎瓶を投げ込んだ17歳の被告に対し、未成年者用の矯正労働収容所での懲役6年を言い渡した。

 ロシアではウクライナ侵攻開始以降、各地で徴兵事務所が狙われる放火未遂事件が数十件起きている。

 傍聴したAFP記者によると、裁判所はエゴール・バラゼイキン(Yegor Balazeikin)被告を「テロ罪」で有罪とし、少年矯正労働収容所に相当する未成年者特別施設での懲役6年を科した。

 バラゼイキン被告が用意した火炎瓶は火が付かなかったため、死傷者は出ず大きな物的損傷もなかった。

 被告は、ウクライナ侵攻への抗議として、サンクトペテルブルクと同市から東に約30キロ離れた地元キロフスク(Kirovsk)の徴兵事務所を狙ったと認めた。

 被告のおじは、侵攻開始直後に志願して従軍し、その数か月後に戦死した。

 ロシアではこれまでにも、軍や政府関係の建物を狙った襲撃の容疑者に対し、同じく「テロ罪」で数年間の懲役刑など厳罰が言い渡されている。

 バラゼイキン被告は逮捕時、サンクトペテルブルク市内の名門高校の生徒だった。

 被告の母親タチアナさんが独立系ニュースサイト「ドクサ」に語ったところによると、被告は自らの行為を「後悔していない」という。

 タチアナさんは、「息子は正しいことをしたと信じている。自分の意見を主張することは許されてしかるべきだからだ」と述べた。

 被告は裁判の中で、火炎瓶を投げたことは認めたものの、自身の行動を「テロ行為」と見なすことには同意しなかった。

 独立系メディア「SOTA」は、被告が法廷で「自分と同じ方法でなくても、もし人々が一斉に不満を表明すれば、この戦争を終わらせ命を救うことにつながると信じている」と話したと伝えた。(c)AFP