【11月19日 AFP】2018年のサッカーギリシャスーパーリーグ(1部)で、クラブの会長が銃を携帯してピッチに乱入した悪名高い事件をめぐって、試合を裁いた主審が18日、家族の身の危険を感じて試合結果を変えたことを認めた。

 2018年3月に行われたPAOK FC対AEKアテネ(AEK Athens)の首位攻防戦は、ギリシャリーグ史上最も大きな騒動になった試合の一つで、90分にPAOKのゴールが取り消されると、イバン・サビディス(Ivan Savvidis)会長が腰に銃を携帯してピッチに乱入。その後、ギオルゴス・コミノス(Giorgos Kominos)主審は判定を覆して得点を認めた。

 コミノス氏は国内ウェブサイトに対し、控室の外にいた数人から、ぼんやりとした警官が近くにいる中で当時妊娠していた妻のことで脅されて「気分が悪くなった」と話し、脅迫が原因で判定を変えたのかと問われると、「その通り」と返答した。

 事件後、審判として2年間の職務停止を科されたコミノス氏は、「あのゲームは私のキャリアに暗い影を落としている。私は恐怖の中で暮らしてきた」と話すと、「妊娠8か月だった妻が、スーパーマーケットまでつけ回されたこともあった。今までこの話は誰にもしたことがない」と明かした。

 また副審からは、PAOKのホームの観客を指しながら「あのゴールはオフサイドだ。(だけど)誰がこの場所でゴールを取り消せる?」と言われたという。

 PAOKのサビディス会長は、タバコ業界でキャリアを築いたギリシャ系ロシア人の実業家で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いる統一ロシアの党員として国会議員を務めていたこともある。この事件では執行猶予付き禁錮25月の有罪判決を受けたが、5月の控訴審で執行猶予付き8月に減刑された。(c)AFP