【11月11日 AFP】ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は10日、受刑者がウクライナの戦場に送られ、恩赦を与えられている問題について、受刑者は「血で罪をあがなっている」として動員を正当化した。元交際相手を殺害して懲役17年を宣告された元受刑者が恩赦を受け、物議を醸している。

 ロシアでは、殺人やレイプなどの凶悪犯罪で有罪となった受刑者数万人が恩赦と引き換えに兵士としてウクライナに派遣され、前線で戦った後に自由の身となっている。

 ウラジスラフ・カニウス(Vladislav Kanyus)元受刑者も、元交際相手の女性を殺害した罪で懲役17年を言い渡され、最も警備が厳重な刑務所で服役していたが、ウクライナで戦った後に釈放された。カニウス元受刑者が当時23歳だった元交際相手を1時間にわたって暴行し、111か所に傷を負わせた事件は、2021年に世界中のメディアに取り上げられた。

 ペスコフ氏は、カニウス元受刑者の恩赦が物議を醸していることについて記者団から質問を受けると、「重罪を犯した者を含め、受刑者は戦場で血を流して罪をあがなっている」「銃弾や砲弾が飛び交う中、突撃隊の一員として血で罪をあがなっている」と主張した。

 受刑者の権利団体を率いるオリガ・ロマノワ(Olga Romanova)氏の推計によれば、ロシアではこれまでに受刑者10万人がウクライナ侵攻に派遣される兵士として採用されている。

 ロシアメディアによれば、こうして釈放された元受刑者が除隊後に殺人などの重罪を犯したケースが数例ある。(c)AFP