ソウル市内のある産婦人科(c)news1
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【11月10日 KOREA WAVE】韓国保健福祉省が10月26日、分娩診療の報酬(医療サービスの代価)を大幅に引き上げると発表した。産婦人科医たちはこうした動きを歓迎する一方、分娩診療を忌避する主な原因まで踏み込んでほしかったと訴えた。

主な不満は、分娩を巡る医療トラブルへの対応だ。12月から不可抗力による分娩医療事故の被害者に向けた補償財源を、国が全額負担することにしたが、財源が圧倒的に不足している。

少子化による需要減少に加え、医療紛争に対する責任負担の高まりから、分娩診療を忌避する傾向は日増しに激しくなっている。保健福祉省と医療界によると、病院・医院の分娩件数は10年間で47.3%、分娩診療医療機関は10年間で36.7%それぞれ減少した。

これに関し、保健福祉省は10月26日に開かれた第21回健康保険政策審議委員会で、地域社会の分娩基盤を維持する考えを明らかにした。年間2600億ウォン(1ウォン=約0.1円)をかけ、地域報酬と安全政策報酬などを導入し、分娩報酬を大幅に改善するとしている。

大都市を除く全地域の医療機関に対し、地域報酬55万ウォンを補償する。産婦人科専門医が常勤し、分娩室がある場合、安全政策報酬として分娩1件当たり55万ウォンを追加する。産婦が高齢だったり、合併症を伴ったりする場合の高危険分娩加算を30%から最大200%まで拡大するという内容だ。

地域別に報酬を別に適用する制度は、国民健康保険法制定以来で初めて施行される。保健福祉省は「保健医療分野内の相対的不均衡を改善し、国民の健康と生命を守るための医療供給と利用体系を作っていく」としている。

この対策が発表されると、大韓医師協会は「少子化時代の分娩をはじめ、崩壊の危機に陥った産婦人科だけでなく、必須医療分野に従事するすべての医師による診療に、少しでも役立つよう願う」と期待を込めた。

しかし、直接の恩恵を受ける産婦人科医たちの反応は、今ひとつだった。今回の方針は、保健福祉省が今年1月に明らかにした「必須医療支援対策」に既に含まれた内容であり、10カ月の間、現場ではメリットが感じられなかったためだ。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News