【11月6日 CGTN Japanese】東京電力は2日から、3回目となる放射能汚染水の海洋放出をおこなっています。これに先立ち、先月25日に福島第1原発で発生した放射性物質を含んだ廃液の飛散事故について、東電は、実際に飛散した廃液は当初発表された100ミリリットルどころではなく、その数十倍に当たる数リットルに達していたと明らかにしました。

 この事態を受け、日本の環境法分野の専門家である戸塚悦朗弁護士は、「汚染水放出は30年以上も続くものであるため、東電のやり方は受け入れられず、人々が安心できる状況でもない」との見方を示しました。

 戸塚弁護士によると、東電は放射能汚染水を「処理水」と呼んでいるものの、「多核種除去設備(ALPS)」では「トリチウム」をまったく取り除けないということで、東電もそれを認めています。戸塚弁護士は「事故があったときのデータの発表の仕方が非常に内輪めでうそに近い。『安全神話』を広めようとするからそうなってしまう。だけど、安全じゃなくて危険なものだということになると、一番危険な場合を予想してどうしたらいいか考えなくちゃいけないわけだから、それを公表しなくちゃいけない。そこが基本的な間違い」と批判しました。また、海洋環境と地球環境も破壊されることから、日本政府と東電は誠意をもってこの難題に取り組むべきで、安全が確認できない限り、放射能汚染水を海に放出することはできないことを改めて強調しました。

 また、国際法の観点から見ても、原発事故による放射能汚染水を海に放出しているのは日本だけで、国際的に前例がないということです。戸塚弁護士は、日本国内および国際社会の懸念に真摯(しんし)に対応し、汚染水の処理に責任ある行動を取るとともに、周辺諸国などの利害関係者が十分に参加できる効果的な国際モニタリング体制の構築に努め、汚染水の海洋放出による海洋環境や人々の健康への長期的な被害を防止するよう、日本政府と東電に呼び掛けました。

 戸塚弁護士は、福島第1原発の安全な廃炉を進めるためにも、多国の政府機関や科学者から成るモニタリング機関の設置が必要だと強調しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News