WHO、地域事務局長にバングラ首相の娘選出 縁故主義疑惑も
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【11月2日 AFP】世界保健機関(WHO)は1日、南東アジア地域事務局長にバングラデシュのシェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相の娘、サイマ・ワゼド(Saima Wazed)氏(49)を選出した。正式な就任には来年1月のWHO執行理事会での承認が必要とされる。
ワゼド氏については候補に挙がった段階で、母親の影響力を行使した縁故主義だとの批判が上がっていた。本人は先月、この疑惑を否定している。
国際的に権威ある英医学誌ランセット(The Lancet)は、政策立案の鍵を握る同ポストについて「特に危機の時代では、グローバルヘルスにおける最も重要な役割の一つ」だと述べている。
同誌は9月、バングラデシュ以外のすべての国が、医師か博士号保持者を候補として擁立したと指摘。ワゼド氏の擁立には「透明性と縁故主義をめぐる疑問が生じる」と批判した。
同誌によると、ワゼド氏は博士号を表す「@drSaimaWazed」というアカウント名でX(旧ツイッター)を使用しているが、これは「バングラデシュ独立の父」で初代大統領を務めた祖父、ムジブル・ラーマン(Mujibur Rahman)氏の名を冠した大学から今年授与された名誉博士号に基づくものと推測される。
WHOへの提出書類によると、ワゼド氏の学歴は米バリー大学(Barry University)大学院で心理学の上級学位を取得、博士課程に在籍中となっていた。
ワゼド氏は1日に行われた無記名投票で、ネパールのシャンブ・アチャリャ(Shambhu Acharya)氏(65)を破り選出された。
アチャリャ氏は米ワシントン大学(University of Washington)公衆衛生大学院グローバルヘルス学部の教授で、WHOの要職を30年以上務めている。
ワゼド氏は先月、バングラデシュ政府のメンタルヘルスに関する戦略計画の首席顧問に任命されたことを挙げ、縁故主義だとする批判に反論した。
ワゼド氏の母、ハシナ・ワゼド首相は過去15年間、バングラデシュで政権の座にある。同首相の支持者の多くは、ワゼド氏を後継者とみなしている。
ハシナ・ワゼド政権は急速な経済成長をけん引してきたものの、汚職や反対勢力の弾圧を含む人権侵害などで非難されている。(c)AFP