【10月31日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は30日、多様性に配慮した「包括的言語(インクルーシブ・ランゲージ)」の禁止法案を支持する姿勢を示し、「流行に流されてはならない」と述べた。

 フランス語は大半の名詞に男性形と女性形があり、性別を厳密に区別しようとするため、ジェンダーニュートラルを徹底したい場合は注意が必要だ。

 以前は男性名詞がデフォルトとして使われてきたが、最近では包括的な表現として、ドットやダッシュで区切り、女性形も一緒に表す表現を用いる人が増えている。例えば、「cher francais(親愛なるフランス人)」という表現は「cher.e.s francais.e.s」となる。

 こうした包括的言語を禁止する法案が右派議員によって提出され、上院で30日に審議された。

 マクロン氏は同日、北東部でフランス語博物館の開設式に出席した際、右派議員に同意する姿勢を見せた。「私たちの言語を存続させるだけでなく、その土台を維持するべきであり、流行に流されてはならない」「フランス語では、中性形が男性形で示されている。分かりやすくするために単語の真ん中にドットを追加する必要はない」と主張した。

 同法案は、教育の場や、労働契約書や裁判文書、取扱説明書などのあらゆる公文書でこうした表現の使用禁止を求めている。特に問題視しているのが、「il(彼)」と「elle(彼女)」を合体させた「iel」で、この表現は性自認が男女のどちらにも当てはまらない「ノンバイナリー」などの人らを指す言葉として一般的になってきている。

「包括的言語の乱用」からフランス語を守るとうたう同法案について、左派議員は「時代に逆行している」と批判している。(c)AFP