■ハマス

 多様な兵器を保有するハマスは、長年かけて現在の軍事力を形成した。

 IISSは、ハマスの軍事部門イザディン・アルカッサム(Ezzedine al-Qassam Brigades、カッサム旅団)の戦闘員数を1万5000人とみている。ただ、アラビア語メディアの一部は4万人と報じているとも指摘した。

 ハマスは中東の広い地域から武器を調達している。特にイラン、シリア、リビアからの供給が多い。中国やその他の地域からは拳銃や自動小銃を調達しており、ガザ地区内では即席爆発装置の製造を行っている。

 西側諸国の情報源によれば、ハマスは十分な数のドローンや地雷、対戦車誘導ミサイル、グレネードランチャー(擲弾〈てきだん〉銃)、迫撃砲を保有しており、長期間持ちこたえることができると考えられているが、数字などの詳細は分かっていない。

 地区内ではハマスが使用するロケットの大半も製造されている。技術的には低いレベルにとどまっているとされる。

■ヒズボラ

 レバノンのヒズボラとイスラエルは、国境地帯で既に交戦している。

 米リスクコンサルタンティング会社ソウファン・センター(Soufan Center)は、「ヒズボラは戦闘に全面的には参加せず、散発的なロケット弾やミサイル攻撃により、イスラエル軍が北部国境地帯に兵力と物資を投入せざるを得ない状況を作り出すことができる」との分析を示している。

 ヒズボラは2021年、戦闘員の数を10万人と公言した。だが、テルアビブ大学(Tel Aviv University)国家安全保障研究所(INSS、Institute for National Security Studies)は、実際にはその半分程度との見方を示している。

 中東専門家のエバ・クローリウティス(Eva Koulouriotis)氏は、ヒズボラには高度に訓練された戦闘員約2万人と予備役約5万人がいると推測する。予備役はレバノンとイランでそれぞれ3か月の訓練を受ける。

 INSSによれば、ヒズボラは「数百」の精密ロケットを含む、15万〜20万発のロケット弾およびミサイルを保有している。5月に行ったイスラエルへの越境攻撃を想定した訓練では、イランやシリア、ロシア、中国からの武器が投入されていた。