【8月29日 CGTN Japanese】日本政府が放射能汚染水の海洋放出を開始してから4日目となる27日、福島原発を運営する東京電力は、メディア7社の記者9人を福島第一原発の取材に招待しました。中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ、CMG)の記者も参加しました。

 記者らは同日午前9時、福島第一原発の最寄り駅に集合し、東電のシャトルバスに乗って福島第一原発へ向かいました。東電は、取材の全過程に東電職員が同行すること、記者が勝手に撮影や録音をしてはならないこと、持ち込めるのは身分証明書、ペン、ノート、放射線測定器だけであること、スマートフォンとパソコンの使用を認めないこと、東電側が提供した防護服を着用することを求めました。

 東電によりますと、今回の見学の目的は、各国の記者に多核種除去設備(ALPS)について紹介するというものです。記者らはALPSについて説明を受けた後、福島第一原発5号機の前を訪れました。排水設備はほぼこの辺りに集中しています。今回の取材活動で記者が唯一カメラの前に立ってリポートできたのはこの場所だけでした。

 日本政府と東電による放射能汚染水の海洋放出計画において鍵を握るのがALPSです。記者らはこの日、ALPSの遠隔制御室も訪れました。技術的な問題が万一発生した場合、複数の応急案があり、放出を停止すると東電の関係者は説明しましたが、「海に流す以外の処理方法があるのか」という記者の質問に対し、「海洋放出以外の方法について検討したことはない」と答えました。

 日本側はALPSで処理された水を「処理水」と呼び、放出基準を満たすと主張しています。しかし国際社会は、ALPSの安全性、有効性、持続可能性を懸念しています。周知のように、ALPSは急造プロジェクトで、世界で運用された前例はなく、技術的にまだ未成熟です。ALPSは2013年に試運転を開始し、日本の原子力規制委員会の検査に合格したのは2022年3月でしたが、日本政府は2021年に海洋放出計画を発表しており、遅れた「合格」は政府の決定に合わせたものではないかと疑問視されています。

 また、ALPSの試運転期間中には、水漏れ、放射性物質の基準超え、クロスフローフィルタの不具合など多くの問題が起きましたが、東電はいまだにALPSの設計寿命や耐用年数について一切公表しておらず、「処理水」に対する独立した第三者による監督管理メカニズムも皆無なため、海洋放出への懸念が広がっています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News