■避難してきても「悪夢は続く」

 紛争から逃れてきた多くのウクライナ人女性は、ポーランドの中絶に関する法律を驚きをもって受け止めている。

「ウクライナの女性は、自分のリプロダクティブ・ライツが抑制される経験をしたことがない」とポドロジアさんは言う。

 マルティンカで活動するニコ・ドロシェンコさん(26)は、「ロシアに併合された地域から逃れてきた女性の中には、妊娠したさまざまな背景を打ち明けてくれる人もいる」と話し、「ようやく悪夢から逃れたと思っても、悪夢は続いている」と続けた。

 マルティンカでは、ポーランドの法律の範囲内で女性たちに救いの手を差し伸べている。

 ポドロジアさんは「中絶自体を支援することはない」とし、「合法的で安全な中絶に関する情報を提供したり、中絶を支援している非営利団体を紹介したりするだけ」で、こうした活動はポーランドでは違法ではないと言う。だが、情報こそが最も必要とされることは少なくない。

 ポーランドで「安全な中絶に関する知識を積極的に広めているウクライナの団体は私たちが初めて」だと話した。