【9月10日 AFP】ポーランドでレイプ未遂の被害を受けたウクライナ人のナスチャ・ポドロジアさん(26)は、外国で暮らす女性がどれほど孤独な闘いを強いられるか、身をもって知っている。

 インスタグラム(Instagram)では「ポーランドで中絶を支援するウクライナ人の妖精」と名乗っている。人工妊娠中絶がほぼ全面的に禁止されているポーランドで難民女性に協力し、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を行使できるように支援することを目標に掲げているのも、そうした理由からだ。

 ポドロジアさんは2014年にポーランドに留学し、大学在学中に性的暴行を受けた。裁判では、学業成績などを根掘り葉掘り質問を受けた。

「その時に、移民女性にとって外国語で自分のつらい体験を説明するのがいかに大変か痛感した」とAFPに語った。

 この体験から、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻すると、ポーランドに避難してきた女性たちを支援するテレグラム(Telegram)のチャンネル「マルティンカ(Martynka)」を開設した。翻訳の手助けをはじめ、在留資格の取得、メンタルヘルスに関する援助を受ける方法などについて、チャットで問い合わせに答えるようになった。

 ポーランド統計局によれば、同国は現在、ウクライナからの難民を約120万人受け入れている。女性の数は男性の2倍だ。

 だが、ポーランドの中絶法は欧州で最も厳しいとされ、中絶処置を受けられるのは、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠、母体に危険が及ぶと考えられる場合のみだ。一方、ウクライナでは妊娠12週まで中絶が認められている。