【8月10日 東方新報】多国籍企業にとって中国の魅力は何か。巨大な市場か、完備されたサプライチェーンか、それとも比較的廉価な労働コストか。

 上海市政府は今年6月、「製造業の高品質発展推進のための3年計画(2023-2025)」を発表した。電子情報、生命健康、自動車、ハイエンド装備の4分野で1兆元(約19兆7993億円)規模の産業群を構築し、2025年までに工業増加値が1.3兆元(約25兆7390億円)を超し、製造業生産総額が地域生産総額の25パーセント以上を占めることを目標として、数々の優遇政策を提示している。

 外資企業はこれまで上海の製造業、特にハイエンド分野で重要な役割を果たしてきた。当計画はまさに外資企業に「カンフル注射」を打つ効果を狙ったものとなっている。

 米国材料科学分野のグローバル企業「康寧(コーニング、Corning)」が1999年上海市に設立した地域統括本部の康寧環境科技事業部中国区の責任者である胡冬初(Hu Dongchu)製造総監は、「康寧」がアジア太平洋地区に製造拠点を設置するための候補地選定をしていた当時のことをまだ覚えている。

 中国、韓国、日本が候補に挙がっていたが、当時は天然ガス調達の利便性などの理由で、最終的に上海市浦東新区(Pudong New Area)金橋経済技術開発区が選ばれた。その後中国大陸における同社の事業は順調に発展、現在は投資総額90億米ドル(約1兆2876億円)を超え、傘下工場21か所になっている。

 やはり米国系の「派克漢尼汾工程材料集団(Parker Hannifin Engineering Material)」のアジア太平洋地区密封(シールドマテリアル)事業部の尚志遠(Shang Zhiyuan)マネージャーは、「5Gとスマート製造技術の発達はメーカーにとって多くのチャンスをもたらした。人工知能(AI)、インターネット物流、ビッグデータなどの高度な新技術のおかげで、生産プロセスの自動化、デジタル化、インターネット管理の工場と高品質で効率が高い生産が実現した。企業にとって新たな発展の機会が生まれている」と話す。スマート化と自動化改造によって、20年から現在までわずか3年で生産効率が50パーセント上昇したという。

 5G、人工知能(AI)、ビッグデータなど新世代の情報技術の働きで、中国の「スマート製造」は今やミドル・ハイエンド分野に向かって邁進(まいしん)しており、製造強国を目指す中国の重要なファクターとなり、また新たな国際競争における優勢を確保する上で必然的な選択となる。

 この中で、多くの外資企業がスマート製造を強力に推進する中国の姿勢をビジネスチャンスと捉え、先端技術の製品とソリューションを積極的に中国市場に投入し、同時に中国での現地化した発展を加速中である。また中国の産業のデジタル化のグレードアップにも適応している。

 中国(上海)自由貿易試験区管理委員会金橋管理局の呂東勝(Lu Dongsheng)局長は、今後のスマート工場建設計画について「現在上海市が認定した100社のスマート工場のうち8社が金橋開発区にある。今の産業の構造転換とアップグレードの最も基本的で顕著な特徴は、デジタル化とスマート化の躍進だ。われわれの願いは金橋開発区をスマート工場の模範地区にすることだ」とその抱負を語った。(c)東方新報/AFPBB News