【7月28日 AFP】フェンシング世界選手権(FIE World Fencing Championships 2023)で27日、女子サーブル個人でウクライナのオリガ・ハルラン(Olga Kharlan)が、「個人の中立選手(AIN)」として出場したロシア出身のアンナ・スミルノワ(Anna Smirnova)との対戦後に握手を拒否したとして失格となった。

 2022年2月に始まったロシアによる侵攻後、フェンシングのウクライナ選手がロシア選手と対戦するのはこれが初めてとなった。

 しかし、ハルランは勝利した試合後の握手をせず、代わりに剣を突き合わせようと申し出た。スミルノワは敗戦に加え、握手を拒否されたことに憤慨し、会場を去らずに1時間椅子に座り続けて抗議した。

 世界選手権で通算4度の優勝を誇るハルランは報道陣に対し、「きょうの私のメッセージは、ウクライナのアスリートは競技の場でロシア選手と対戦する準備はできているが、握手することは絶対にないというものだ」と述べた。

 国際フェンシング連盟(FIE)の規則では、試合後に対戦相手と握手をすることが定められているが、代わりに剣を突き合せることは「問題ない」と、FIEの会長から事前に確認を取っていたとも明らかにした。

 ウクライナ・フェンシング連盟(NFFU)は、FIEにハルランの失格撤回を要求。ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問も、ソーシャルメディアで「完全に恥ずべき決定」だと反発した。

 一方、国際オリンピック委員会(IOC)は今回の件を受け、各国際競技連盟に対し、ウクライナ選手と個人資格の中立選手が絡む問題が起きた場合、「必要な配慮」を持って対処するよう促した。また、「われわれは引き続き、ウクライナ選手とウクライナの五輪コミュニティーへの全面的な連帯を続けていく」と付け加えた。(c)AFP