中国ブランド乗用車、国内市場で頭角 競争構図に変化
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【7月24日 Xinhua News】中国吉林省(Jilin)長春市(Changchun)では15日からの10日間、第20回長春国際自動車博覧会(長春モーターショー)が開かれている。今年初めて設けられた新エネルギー車(NEV)展示エリアでは、電気自動車(EV)の哪吒汽車(Neta)や零跑汽車(Leap Motor)、重慶長安汽車傘下の長安深藍(Deepal)、東風汽車集団傘下の嵐図汽車(VOYAH)などの国産ブランドが自動車ファンの注目を集めている。
中国の自主ブランド自動車メーカーはここ数年、新エネやインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)シフトなどの波に乗り、ライバルを抜き去る実力を備えつつある。国内市場の深掘りと技術革新を武器に、中国という世界最大の自動車市場で合弁ブランドと競い合っている。
中国国家情報センターのデータによると、中国は2009年以降、自動車販売台数で世界一を維持しているが、自主ブランドの販売台数も増え続け、ミドルレンジ・ハイエンド市場での販売シェアを年々拡大している。スポーツタイプ多目的車(SUV)人気への対応やハイエンド市場への布石、新エネ車市場でのシェア拡大などを通じてモデルチェンジと高度化を進め、世界自動車市場の競争構図を変えつつある。
自主ブランド乗用車が小売り販売で毎月シェアを大きく伸ばしているのも一例で、中国汽車工業協会(CAAM)によると、2023年1~6月の販売台数は前年同期比22・4%増の598万6千台と乗用車販売全体の53・1%を占め、シェアは前年同期より5・9ポイント上昇した。自主ブランドの市場シェアはセダンで44・7%、SUVで59・0%、多目的車(MPV)で59・5%に上る。
1980年代に中国初の合弁自動車メーカー北京吉普汽車(北京ジープ)が設立されて以降、国内市場で自主ブランド乗用車の市場シェアが初めて5割を超えたことは、中国自動車メーカー傘下のブランドが合弁ブランドとの距離を縮め、追い越し、世界最大の自動車消費市場を主導するようになったことを示している。業界関係者は中国乗用車市場の小売販売台数が増加を続ける要因の一部として、今年1~6月の連休期間に実施された販促キャンペーンと持続的な政策支援による相乗効果を指摘。全国乗用車市場情報連合会(CPCA)の崔東樹(さい・とうじゅ)秘書長は「中国乗用車市場の成長の核心的原動力は製品イノベーションと企業努力だ」と強調した。
業界アナリストは中国自動車メーカーが進化に成功した理由として、ユーザーが求める新技術の特性、製品の更新ペースとコスト間の取捨選択に対する配慮やリスクを受け入れる前向きな姿勢を指摘する。米コンサルティング会社アリックスパートナーズはこのほど発表した自動車業界リポートで、中国自動車メーカーが今後数年の世界自動車業界で主導的な役割を果たすと予測。同社大中華圏部門の共同リーダーを務めるステフェン・ダイヤー氏は、中国自動車メーカーの世界的影響力は既に転換点を超え、2030年には国内市場の自主ブランドシェアが65%に拡大するとの見通しを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News